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コラム

食中毒の危険も!?電子レンジで調理をする際は「加熱ムラ」に注意

私たちの生活に欠かせない存在となった「電子レンジ」。最近では、レンジだけで調理が完結する時短レシピなども登場し、使い道も広がってきています。そんな電子レンジですが、調理に使用する際は食材をしっかり均一に加熱するなど、注意すべき点もあります。そこで今回は、おいしく安全にレンジ調理を行うための使用法について解説します。

「加熱ムラ」による食中毒の危険

電子レンジで調理をする際に気をつけるべきは「加熱ムラ」です。レンジ加熱は、揚げる、焼くに比べて熱を不均一に伝えるため、一度で食材に満遍なく熱を加えるのが難しいといわれています。そのようにして「加熱ムラ」がある料理、いわゆる“半ナマ状態”の料理を口にすることで食中毒になる危険性が高まります

特に、加熱して菌を殺す必要のある食材は、満遍なく熱が加わるよう、その都度混ぜながら何回にも分けて加熱する必要があります。例えば「腸管出血性大腸菌(O157)」は、75度で1分間以上加熱すると菌が死滅するため、レンジで調理する際も、中心までよく熱が通るように加熱します。加熱ムラもなく、しっかり均一に加熱できていれば食中毒の可能性は低くなるため、過度に恐れる必要はありません。ただし、ムラがあると菌が死滅しないこともあるので、熱が均一に通るように心がけることが大切です。

加熱ムラ予防のポイント

庫内清掃

最初に確認すべきは、庫内の汚れです。電子レンジの中に汚れがあると、そこに電波が集中してしまい食品がうまく加熱できないことがあります。また、汚れたまま使用を続けると、それまで600W・1分で温まっていたものが1分30秒にしないと温まらなくなるなど、電子レンジ自体の性能が落ちていきます。電子レンジの加熱ムラを防ぐためには、こまめな清掃も大切です。

表面の塩や砂糖に注意

塩や砂糖をふった食材を電子レンジで温めると、熱が表面に集中してしまい、中まで電波が伝わらないことがあります。例えば、表面に塩をふったブロック肉は電子レンジで加熱しても中心部まで熱が通らないので、オーブン機能を使った調理がおすすめです。電子レンジで肉を加熱するときは、熱が通りやすいように薄く切った状態にしてから加熱しましょう

食材の大きさを揃える

最近は電子レンジでカレーを作る人も増えていますよね。カレーにはじゃがいもやにんじん、お肉などいろいろな食材を使いますが、大きさや加熱時間の違う食材を一度に、しかも均一には加熱できません。そのため、食材の大きさを揃える、食材ごとに加熱時間を変えるなど、調理の仕方に工夫が必要になります。また、その食材の状態や電子レンジの使用期間や頻度によっても加熱時間が変わってくるので、何度か取り出して混ぜ、熱の通りを確認しながら調理しましょう

容器も四角ではなく丸いものへ

加熱の際に使う容器も意識しましょう。電子レンジは電波が反射して食材や容器の角にあたり、温度が上がっていきます。そのため、四角い容器ではなく丸い容器の方が均一に熱が伝わります。また、最近では電子レンジ用以外の容器を使用している人もたまに見かけますが、そのまま長時間加熱をすると、変形したり、溶けたりする危険性があるので注意が必要です。

再加熱の際はここに注意

電子レンジは調理だけでなく、できあがった料理を再加熱する際にも使用しますよね。その際、カレーなどの粘度の高い料理は電子レンジで再加熱すると加熱ムラが出やすいため、基本は鍋で100℃(グツグツした状態)、15分程度を目安とし、よく混ぜながら熱を通すようにしましょう。

もし、電子レンジで再加熱する際は、「加熱」と「混ぜる」を2〜3回繰り返してください。また、加熱して沸騰する直前になった状態で衝撃を与えると、突沸して中身が飛び散り、火傷などをする恐れがあるので注意しましょう。ラップなどで蓋をして加熱することが大切です。

また、加熱調理後の料理の取り扱いにも注意してください。例えば、できたて熱々のカレーでは食中毒の心配はありませんが、時間が経って55度くらいに温度が下がってしまうと「ウェルシュ菌」や「セレウス菌」は耐熱芽胞の発芽が促進され、菌が繁殖してしまう可能性があります。そのため、室温で長時間放置することのないよう気をつけましょう。十分に再加熱すれば細菌は死滅するため問題ありませんが、少しの加熱では死なないため、よく混ぜながらしっかり再加熱して食べましょう。

正しく使えばとっても便利!

電子レンジは便利ですが、コンロ調理等とは違う点も多いことを理解する必要があります。食中毒の観点から考えてみると、鍋やフライパンで煮たり、焼いたりするのと違い、加熱状態を長い間キープできるわけではないため、「ムラがないようにしっかり加熱する」ことが大事。そういった点も意識しながら、正しくレンジを使っていきましょう。

監修:公益社団法人日本食品衛生協会

飲食物が原因となって起こる食中毒などの健康被害を防止し、消費者の健康を守るため、食品等事業者に正しい食品衛生の知識を広めることを目的として、地域の保健所や食品製造業や飲食店等の人々と協力し、 食の安全を守るための活動を行っています。
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