cookpad news
コラム

蒸し暑い季節は特に注意!食中毒予防のための「作りおき」のルール

じめじめする梅雨。湿度が高くなると注意したいのが、食中毒です。特に「作りおき」をしている人は要注意。調理してから食べるまでの時間が長くなるため、この時期はいつも以上に食中毒のリスクが高まります。しっかり対策をし、食中毒を防いでいきましょう。

まずは料理に「菌をつけない」

作りおきに限らず、食中毒予防には、「(菌を)つけない」「増やさない」「やっつける(しっかり加熱する)」を意識した調理が大前提です。その上で、作ってからすぐに食べない「作りおき」では特に気を付けたいことがあります。「まな板や包丁をはじめ、清潔な調理器具を使う」「保存容器は清潔なものを用意する」など、作る段階から菌をつけないようにすることです。

作りおいた和え物やサラダなどは食べる際に再加熱をしないため、調理時に一層の注意が必要です。茹でた野菜の水分を絞る際には、しっかり手を洗う等「菌をつけない」よう気を付けましょう。また、野菜類はどうしても水分が出やすく、それによって菌が繁殖しやすくなります。調味は食べる直前にする、などの工夫も必要です。

「増やさない」工夫をする

作りたての熱々のものは食中毒の心配はありませんが、料理の温度が、10℃~65℃の間にあると、菌が増えやすい環境と言えます。できるだけこの温度帯を早く通過して、菌が増えないようにすることが重要です。料理を長時間室温で放置せず、できるだけ早く粗熱を取ってから、早めに冷蔵庫や冷凍庫で保存しましょう。

保存容器に詰めるとき、出すとき

でき上がった料理を容器に移す際、きちんと洗って乾かした密閉容器を使用しましょう。また、容器に料理を出し入れするトングや菜箸も清潔なものを使いましょう。

汁気はとる

水分が多いと細菌が増えやすくなるため、おかずの汁気はよく切ってください。

粗熱を早くとるには

「浅い容器」に小分けすることで、冷めるスピードが早まり、粗熱が早く取れます。なかなか冷めない場合は、保存容器の下に保冷剤を置くなどの工夫も必要です。また、湯気がたくさん上がった状態で蓋をすると容器の中に「結露」ができ、料理に余分な水分が加わってしまい、菌を増やす要因にもなります。冷めてから蓋をしましょう。

カレーは要注意

基本的に作りおき用のおかずを保存する際は「空気に触れないようにする」ことが大切ですが、煮込み料理などは異なる対応も必要です。それは肉類、野菜、香辛料などに由来する「ウェルシュ菌」は、熱に強く空気がない状態でも生きていける食中毒菌だからです。特にカレーやスープなどは深めの鍋で作ることが多いですが、加熱していくと空気が抜け、酸素が少ない状態になり、これらの菌が増えてしまうからです。作りおきする際は、小分けにして早く冷まし、これらの菌が増えないようにしましょう。

また、作りおき後食べる際は、十分に加熱するとともに、空気が入るようによくかき混ぜましょう。

保存袋の場合は?

ジッパー付き保存袋を利用する人も増えています。洗って何度も使い回すのはやめてください。いつも清潔で新しいものに入れて保存しましょう。また、可能であれば容器の中身が見えやすいものを選ぶとよいでしょう。蓋やジッパーを開けて中を確認する回数が増えると、空気にさらされる時間が長くなり、菌が増殖するリスクも高まります。

食べる前に菌をやっつける

電子レンジや鍋でしっかり再加熱してから食べましょう。その際には加熱ムラがないように全体的に加熱することが大切です。

カレーやシチューのような粘度の高いものは空気を入れるようにかき回しながら、しっかりと沸騰するように加熱しましょう。

こんな料理に要注意!

和え物

下茹でした野菜などを和え物にする際は、加熱(茹でた)後、冷水などですみやかに冷まし、よく水気を切ってから調味料などと和えましょう。野菜などから水分も出やすいので、長期保存するのではなく、作ったら早めに食べるようにしましょう。

ポテトサラダ

熱々のじゃがいもと生の野菜等を合わせて作るため、野菜類から水分が出やすくなります。加熱したものと生のものを混ぜるのは長期保存には向かないので、早く食べきるようにしてください。

味噌汁

味噌汁を常温で放置する人がいますが、汁物はなるべく作ったらすぐに食べるようにしてください。ゆっくりと冷めていきますので、汁のまま取っておくのは具材などの腐敗や食中毒のリスクが高まります。味噌玉のようなもの(具材は乾燥ワカメのような水分の少ないもの)を冷蔵・冷凍保存して、その都度、みそ汁にするほうが衛生的です。

めんつゆ

自家製のめんつゆは、余ったら常温で放置せず、冷蔵庫へ入れ、長期保存はせずにできるだけ早く使い切ってください。

「冷蔵庫に入れれば大丈夫」ではありません

夏は飲み物やアイスを取るために冷蔵庫や冷凍庫を開ける回数が増え、庫内の温度が上がりがちです。そうすると、菌が増えやすい環境になります。冷蔵庫への過信は禁物です。

もったいないはなし!

「作りおき」したものは、早めに食べきるようにしましょう。作った日を容器にメモしておくなど、保存の管理も工夫しましょう。

もし食べてみて味がおかしいと思ったら食べない。たまに“もったないない”という理由で食べてしまう人がいますが、その考えは捨てましょう。変だなと思った時点で腐敗している可能性があります。また、食中毒菌は臭いや味に変化はありませので、増えていても気付けません。

作りおきというと、何日間にも分けて食べられるように、多くの材料を使って大量に作りがちですが、「いつ食べるのか」「一度に食べきれる量なのか」、計画を立て、考えて作るようにしましょう。

【参考文献】
日本食品衛生協会:ウエルシュ菌食中毒
政府広報オンライン:食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイント

監修:公益社団法人日本食品衛生協会

飲食物が原因となって起こる食中毒などの健康被害を防止し、消費者の健康を守るため、食品等事業者に正しい食品衛生の知識を広めることを目的として、地域の保健所や食品製造業や飲食店等の人々と協力し、 食の安全を守るための活動を行っています。
・ホームページはこちら>>
・食中毒・食の安全Q&A「知ろう!防ごう!食中毒」

編集部おすすめ
クックパッドの本