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コラム

何度でも食べたい!豆腐の聖地で出会った、にがりを使わずに固める「極上のお豆腐」とは?

【工藤詩織の「お豆腐」を求めてぐるり旅 Vol.1】お豆腐の魅力に取り憑かれていると言っても過言ではない、無類の豆腐好きである工藤詩織さん。あちこち旅をして出会った、日本各地の個性豊かな「お豆腐」たちを紹介していただきます。読めば、あなたもまるで現地を訪れたような旅行気分が味わえますよ! 第1回目に取り上げるのは、お豆腐の聖地とも言える「京都」の奥深き世界です。

お豆腐の聖地「京都」の奥深き世界

「日本各地にそこでしか味わえないお豆腐がきっとある……!」そんな風に思い立った学生時代からいままで、「お豆腐」を求めてあちこちを旅しました。このコラムでは、これまでの豆腐旅を振り返りながら、各地の個性豊かな豆腐のお話をしていきたいと思います。

今回取り上げるのは歴代訪問数 No.1の「京都」です。“お豆腐の聖地”という漠然としたイメージは抱きつつも、実際に町のお豆腐屋さんを巡って見えてきたのはその奥深き世界でした。

「だし」を際立たせる「お豆腐」

京都のある豆腐職人さんから、「豆腐はだしの風味を壊さないことが大切なんだよ」と教わりました。このお話と関連するのがお豆腐を固める凝固剤です。京都では、「にがり(塩化マグネシウム)」ではなく「すまし粉(硫酸カルシウム)」で固めたお豆腐をよく見かけます。「にがり」は大豆の風味をしっかりと引き出す一方で、「すまし粉」を使うと主張しすぎない優しい風味で食感もみずみずしく仕上がるからです。たしかに、繊細なだしのうま味を味わうには「すまし粉」で固めたお豆腐はぴったりに感じます。中には、2種類の凝固剤を使い分け、「湯豆腐にはこれ、冷奴ならこれがおすすめですよ」と別々のお豆腐をすすめてくれるお豆腐屋さんもいます。

他にも、京都には夏季限定で「糸寒天」を加えた「絹ごし豆腐」を販売するお店があります。実際につくられているお店に伺ったところ、この製法は古くからあり、糸寒天によって喉越しがさらに良くなるのだそうです。加熱すると溶けてしまうので冷奴限定なんですね。

湯豆腐は、煮るべからず

私にとっての湯豆腐の思い出の味といえば、嵐山の「西山艸堂(せいざんそうどう)」さんです。こちらでは150年以上の歴史をもつ豆腐店「嵯峨豆腐 森嘉(さがとうふ もりか)」さんの「嵯峨豆腐」が使われています。すまし粉で固められた「嵯峨豆腐」は、小説家・川端康成氏の『古都』にも登場し、「箸にもかからん」と描写されたほど柔らかな質感が特徴的です。運ばれてきたのは、大きくカットされ土鍋に浮かぶ湯豆腐。ふるふると揺れるお豆腐は今にも壊れそうで、鍋からすくい上げるのに緊張してしまうほどです。ほんのりと甘い独自のだしに絡めたお豆腐は、口当たり柔らかで、さらりと喉を通っていきました。人生で何度も湯豆腐を食べてきたつもりでしたが、このような感覚は初めてでした。

そして、湯豆腐の要は温度管理だということを再認識しました。お豆腐を無造作にグツグツと煮るのではなく、最適な温度に温めてキープさせることが大切だったのです。お家でも実践できる温度管理については「お豆腐進化論」のコラムをご参考にしてみてください。

ちなみに、ざっくりとした分類ですが、京都には東側は左京区の南禅寺・清水寺の周辺エリア、西側は右京区の嵯峨・嵐山エリアと、東西2つの湯豆腐エリアがあり、それぞれの湯豆腐にも個性があります。東側には「にがり」を使った湯豆腐を味わえる料理店もありますので、食べ比べてみても楽しそうですね。

茶屋でうまれた「祇園豆腐」

もうひとつの思い出の味は祇園の八坂神社の南楼門で食べた「祇園豆腐」と呼ばれる豆腐の「田楽(でんがく)」です。室町時代、参道には西に「藤屋」、東に「中村屋」と、二軒の茶屋が向かい合い、「腰掛け茶屋」として繁盛しました。そこでもてなされたのが、木綿豆腐を串に刺して味をつけ炭火で炙った田楽です。店頭で女性が豆腐をトントンと切る早業は人目を引き、その評判はたちまち広がり、江戸時代にはすっかりファーストフードとして定着したのだとか。現存するのは「中村屋」改め「中村楼」さんのみですが、いまでも田楽が提供されています。炭火で香ばしくふんわり焼かれた木綿豆腐の上には、木の芽味噌がたっぷり塗られてボリューム満点。味噌の深いコクと木の芽の鼻を抜けるような爽やかな香りが絶妙でした。

簡単なご案内になりましたが、繊細な職人の感性が込められた京都のお豆腐の魅力が伝わったでしょうか。ぜひ京都に出かけた際は町のお豆腐屋さんに立ち寄って、職人さんの話に耳を傾けてみてください。 今後もお豆腐旅バナシにお付き合いください。

まいにち豆腐レシピ』(池田書店

健康的で経済的、豆腐の魅力はそれだけではない! 年間1000食以上豆腐を食す著者が、豆腐の製法・歴史・文化などさまざまな側面から豆腐の魅力を伝えるとともに、料理家牛尾理恵による、田楽、ゆし豆腐、鹹豆漿(シェントウジャン)、豆腐のガパオ風炒め、麻婆豆腐、ほか102レシピ掲載。豆腐について知りたかったことがすべて知れて、おいしく食べるためのレシピも盛りだくさんな一冊です。

レシピ担当:牛尾理恵(ウシオリエ)

料理家、栄養士。東京農業大学短期大学部卒業後、病院の食事指導、料理制作会社勤務を経て独立。手軽なヘルシーレシピを得意とし、自身も食事管理と筋力トレーニングで日々健康的なからだづくりに臨んでいる。著書多数

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工藤詩織(往来/豆腐マイスター)

幼少から豆中心の食生活を送り、豆腐がいつも暮らしの中心にある無類の豆腐好き。日本語教師を目指して勉強する過程で、食文化も一緒に伝えたいと「豆腐マイスター」を取得。国内にとどまらず海外でも、手作り豆腐ワークショップや食育イベントを実施して経験を積む。2018年より「往来(おうらい)」をテーマに本格的に活動を開始。豆腐関連のイベント企画・メディア出演などを通して、各地で豆腐文化の啓蒙活動を行っている。「マツコの知らない世界」(TBS系)、「ヒルナンデス」(日本テレビ系)、「ごごナマ」(NHK)等へ出演。

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