料理がもっとうまくなりたい!を叶える、プロの料理人による料理のパーソナルコーチングサービスMOMENT。 第6回はイタリアンレストランsel sal sale スーシェフ・櫻井夢己さんが、人気スイーツ「パンケーキ」の作り方を生徒のさやこさんに伝授します。レッスンの様子を覗いてみましょう!
パンケーキというと、しっかり焼いて重ねる昔ながらのホットケーキやほわほわっとしたスフレ系など、いろいろな種類があります。さやこさんはどんなパンケーキが好きですか?
断然スフレ系です! でも家でつくるのは難しそうで、今までチャレンジしたことがないんですよね。お店みたいな、ほわほわで、口に含むとしゅわっととろけるスフレ系パンケーキをつくりたいです!
パンケーキは卵の特性をどう生かすかがポイント。
生地づくりは「どこまで混ぜるか」を見極めて、焼くときはやさしく。そして出来立てふわふわを食べるのも大切です。スフレ系パンケーキはふんわりしていながら少しもっちり、舌の上でしゅわっとほどけて旨味としっとり感が残るのが完成形。今回は“卵黄と卵白をそれぞれしっかり泡立てて生地をつくり、気泡をつぶさない焼き方”を一緒に学びましょう。
分量の目安は、薄力粉1:卵2:砂糖1/2。
粉類は、薄力粉と生地を膨らませるベーキングパウダー、旨味が増す塩ひとつまみを合わせてふるっておきます。
次に主役の卵です。ボウルに油がついていると卵白が泡立たなくなるので気をつけて、卵黄と卵白に分けます。混ぜるのは卵黄から。乾きやすい卵白はラップをして冷蔵庫に入れておきましょう。卵黄に砂糖の1/3量を加えて馴染ませるようによく混ぜ、泡立て器で空気を含ませるように混ぜながら、残りの砂糖を加えていきます。
どのくらいまで混ぜるのでしょうか?
卵黄の泡立てゴールは白っぽくなるまで。とろっとしてツヤも出てきます。ここで、好みでリコッタチーズを加え混ぜ、牛乳も混ぜ合わせます。チーズはなくてもいいんですが、コクが出るのでおすすめです。
最後に粉類を一気に加えます。小麦は水分と合わせるとグルテンが出て生地に弾力が出てもちもちしてしまうので、ふわっとさせたいときは手早く、ゴムベラで切るようにさっくり混ぜればOK。そうしたらラップをして冷蔵庫で30分おいて、生地を休ませましょう。
次は卵白です。混ぜ始めに卵白1個分に対し、レモン汁を小さじ1/2ほど加えると泡立ちキープに効果的です。空気が入りやすくなるよう少し泡立ててから砂糖を1/3量くらい加えて、ハンドミキサーでしっかり混ぜていきます。
ハンドミキサーは必須ですか?
ディッシャーでも混ぜられなくはないですが、今回は「ふわしゅわ食感」を目指しているので、しっかり泡立てることがとても大事。時間短縮できるハンドミキサーをおすすめします。砂糖は分けて入れることで、きめの細かいメレンゲができあがります。途中、砂糖1/3量を加えて混ぜ、しばらくすると白っぽい泡状になってきます。真ん中から泡をすくってみて、落ちていくときに少し筋が残るくらい(7分立て)になったら最後の砂糖を加えて、混ぜ続けます。卵白の泡立てゴールは持ち上げた時に角が立つくらい(9分立て)のしっかりメレンゲ。ふわふわ生地にするには泡がとても大事なんです。
しっかり泡立ったら1/3量を卵黄のボウルに入れてゴムベラで混ぜて全体を馴染ませ、それをメレンゲのボウルに入れて、混ぜずにさっくり「切っていく」程度にとどめます。
えっ。マーブル状ですけど、しっかり混ぜなくて大丈夫なんですか?
均一に混ぜていくとせっかくの泡がどんどん消えてしまうので、さっさっさっと切るくらいでOK。焼いている時に馴染みますから心配無用です。
ふわシュワは「泡が命!」なんですね。
混ぜたら泡が消えないうちに焼いていきましょう。
卵はゆっくり火を通すことで柔らかく仕上がるので、弱火で少し温めたフライパンにバターを入れ、溶け始めたらスプーンで生地をすくってそっと入れていきます。1枚あたりカレースプーンでこんもり3杯程度、10cm円形を目安にしますが、形は整えなくて大丈夫。ほんの少し水を入れてふたをし、蒸し焼きにします。
つい上から抑えて丸く平たい形にしたくなります。これで火が通るのでしょうか。
卵は60度で固まり始め、80度で完全に凝固するので、じっくり火入れできれば大丈夫。火が通ってくると表面を触っても生地がつかなくなります。そうなったら返し、また水を少し入れてふたをして蒸し焼きにします。両面が焼けたら完成。
お好みでバターやフルーツを添えてどうぞ。気泡がしっかり立っている出来立てを食べてくださいね。
ふわしゅわ!!口のなかで溶けていく感じの食感です。チーズのコクが広がって、ちょっともっちりしている印象も。これならぺろっと3枚いけちゃいます!
本場イタリアの各地域を1年間渡り歩き、さまざまなレストランでの厨房経験を通して現地のイタリア料理の基礎を習得。帰国後は恵比寿にあるイタリアンレストラン「sel sal sale(セルサルサーレ)」のスーシェフを務めながら、イタリアで得た知識と料理の科学的知識を派生させて自分なりの料理スタイルを確立させている。香ばしさや力強さを意識した火入れと塩の扱いが得意。「何か味や香りが物足りないな」といった時に良いアドバイスをしてくれる。家庭の味を超えたい、さらに上をいくレストランの味に持っていきたい方におすすめ。
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