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コラム

「全身だるくて、お腹の調子が…」40代女性、辛い夏バテの原因は?

病院に行くほどではないけれど、なんだか感じる体の不調。薬剤師であり調理師、薬膳アドバイザーの資格も持つ道川佳苗さんと、中医学の視点で体を見つめ直し、健やかな暮らしをつくるための「食」を考えましょう。

このような質問をいただきました。44歳、女性からの質問です。

「眠りが浅く、目が常にしょぼしょぼしており、体がけだるく、昼寝ばかりして、体が動がないです。肩や首にこりも感じ、頭痛もあります。年々、胃腸も弱くなっているのか、唐辛子やカレーなどの刺激物を食べるとすぐお腹を壊す様になり、なんだか毎日頑張れません。」

だるさやお腹の不調…胃腸の働きの低下が原因?

毎日暑くてバテ気味で、疲れがなかなか取れない人も多いのではないでしょうか?室内と外の温度差も激しく、それが自律神経のバランスを乱しやすくしています。また、暑い季節にはついつい冷たい飲み物や食べ物を摂りたくなりますが、知らず知らずのうちに胃腸が冷えてしまうこともあります。胃腸の冷えは消化を妨げ、不調の原因にもなります。

そこで、今回は夏の全身倦怠感やお腹の不調を緩和するためにおすすめの食材やレシピをご紹介いたします。

夏の全身倦怠感やお腹の不調…なぜ起こる?

中医学的には、以下の原因が考えられます。

1.自律神経の乱れによる胃腸の働きの低下

7月は湿度と気温が高く、汗をかいても十分に蒸発せずに体に熱がこもりやすくなります。体内に余分な熱がこもると、体温調節が上手く機能せず、自律神経のバランスが乱れ、胃腸の働きも低下して消化不良などが起こる可能性があります。胃腸の働きが低下すると、栄養素が十分に吸収されないため疲れやだるさなどの原因にもなります

特に夏はクーラーの効いた部屋で長時間過ごすことや、冷たい飲食物の摂取が続くことで、胃腸が冷えて働きが低下します。そうした状況を避けるためには、暑い時間帯を避けて早朝や夕方に軽くウォーキングするなどして汗をかいて熱を発散させることが自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。また、冷たい飲食物を控えると同時に、冷たいものを摂った際には温かい飲み物を一緒に摂るように心掛けることも大切です。これにより、体を冷やしすぎずに快適に過ごすことができます。

2.体に余分な熱がたまることによる「心(しん)」の不調

中医学では五臓という概念があり、「心(しん)」は全身に血を巡らせる働きと精神的な活動の管理を行うとされています。特に夏とは深い関連があり、心は熱を持ちやすい性質があるとされています。したがって、体の余分な熱を冷ましてあげないと、心に負担がかかり、不眠や不安感などの精神的な不調が生じやすくなります。心が適切に回復することで、睡眠が深くなり、疲労感や倦怠感が軽減されることが期待されます。

全身倦怠感やお腹の不調の緩和におすすめの食材は?

夏の全身倦怠感やお腹の不調を緩和するためには、旬の夏野菜を利用して胃腸を冷やしすぎずに体の熱を取り除き、さらに胃腸の調子を整える食材を摂取することが重要です。また、暑さで消耗したエネルギー(気)を補う食材も取り入れることが大切です。 薬膳では、「五性」という概念があり、食材ごとに体の機能を促して温めたり、機能を抑えて冷やしたりする性質があると考えます。夏野菜は胃腸を冷やしすぎずに体の熱を取り除く働きがあるので、上手に取り入れるのが良いでしょう。

また、肩や首のコリや頭痛は冷えによる血行不良が原因となることもあります。こうした場合には、しょうがやにんにくなどを適度に使用して体を温め、血流を良くすることが大切です。ただし、暑がりの方はしょうがやにんにくの使用を少量に抑えるよう心掛けましょう。

▼熱を冷ます旬の夏野菜

モロヘイヤ、トマト、キュウリ、ナス、ズッキーニ、ゴーヤなど  

▼胃腸の調子を整える食材

オクラ、しょうが、かぼちゃ、やまいも、さつまいもなど

▼エネルギー(気)を補う食材

魚介類、鶏肉など

クックパッドのおすすめレシピはこれ!

鶏肉とモロヘイヤ・きゅうりの梅肉和え

エネルギーを補う鶏肉と、胃腸の調子を整えるモロヘイヤ、余分な熱を冷ますきゅうりを組み合わせた和え物です。梅肉の酸味を加えることでさっぱりして食べやすく、暑い夏にぴったりです。

シーフードトマトパスタ

トマトは体の余分な熱を冷ます野菜で、パスタソースにすると手軽に取り入れられます。ツナなどの青魚や、いかやあさりなどの魚介類はエネルギーや血を補い疲労回復にも役立ちます。また、パスタの原料である小麦は薬膳では余分な熱を冷まし精神を安定させる働きがあります。食欲がない時でも、野菜も魚介類も炭水化物も一皿で取れるパスタはおすすめです。

ナスとかぼちゃの焼きマリネ

体の余分な熱を冷ますナスと、胃腸の調子を整え疲労回復効果もあるかぼちゃを焼いてマリネ液に漬け込んだ副菜です。マリネ液には体を温めるしょうがとにんにくを加えて冷房による冷え対策もしましょう。にんにくには、疲労回復効果のあるアリシンも含まれています。

胃腸の働きを整えて疲れやだるさを解消しよう

暑さと湿気で毎日バテそうですが、夏野菜を上手に取り入れて胃腸を過度に冷やさずにお腹の調子を整えていくことが大切です。漢方の考えでは胃腸を一番重要視しており、胃腸の不調を改善することで、さまざまな不調が改善されることがあります。冷たいものの摂取は控えることが大切ですが、暑い季節であっても食材の力を借りて余分な熱を冷ますことで夏の不調を改善していきましょう。

今回ご紹介した暑い夏を元気に乗り切るために役立つ食材とレシピを、ぜひ取り入れてみてください。

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なんとなく感じる体の不調、もやもや。道川さんに相談してみませんか? こちらのフォームからあなたの声をお寄せください。

道川佳苗

薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事している時に、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、服部栄養専門学校に入学し卒業する。お料理好きの漢方マニア。

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