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コラム

【気づいてた?】運動によって味覚が変わる!そのワケとは

運動前後で味覚は変わる?

運動をした後に飲むスポーツドリンクと、喉が渇いていない時に飲むスポーツドリンク。 同じドリンクを飲んでいるはずなのに、飲むタイミングによって味が変わると感じたことはありませんか?
実はそれは錯覚ではなく、実際に飲み物は同じでも味覚が変わる事があるのです。

味覚を変える二つの要素

味覚が変わる理由は主にこの2つです。
1つは体が欲しい成分、もう1つは唾液の性質です。
運動後は、体は運動によって失われた成分が欲しい状態になっています。 具体的には、クエン酸や糖分、塩分などです。 このため、これらの成分を含む食べ物を食べたくなるように、体がトリックを使ってきます。
その一つが、唾液をいつもとちょっと変えるトリックです。

唾液の変化で味覚が変わる?

体内の成分だけでなく、運動後は水分が大幅に失われます。 こうした時、出てくる唾液は粘性の高いものに変わります。 粘性の高い唾液には、いくつかの成分が含まれており、それにより食べ物由来の味覚に影響を与えるようになります。
その影響とは…酸味を感じにくくし、対照的に甘味や塩味を感じやすくするというものです。

唾液の変化で一石二鳥

クエン酸は酸味が強いものですが、人によっては酸っぱさが苦手なことがあります。 そこで、酸味への感度を下げる事によって、酸っぱいものを食べやすい状態にするのです。 また、人が美味しいと感じやすい甘味や塩味への感度も上がる事で、甘味と塩味を摂取したときの「美味しいという刺激」が強くなります。
つまり、甘味と塩味を含む食べ物をもっと食べたいように仕組んでいるのです。 このように、唾液の粘性が高いことで、本来苦手である酸味、本来好まれる甘味と塩味を効率的に摂取できるようになっているのです。

運動後に味覚が変わる背景には、こんな秘密があったのでした。
ぜひ、運動後にレモンをかじってみてください。きっといつもより甘く感じられる事でしょう♪

著者:味博士

味覚研究家。AISSY株式会社代表取締役社長 兼 慶応義塾大学共同研究員。味覚を数値化できる味覚センサーを慶大と共同開発。味覚や食べ物の相性の研究を実施。メディアにも多数出演。ブログ『味博士の研究所』で味覚に関するおもしろネタを発信中。

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