夏場のお弁当作り。「食中毒対策はしたいけど、いったい何から気をつけたらいいのかわからない」そこでお弁当の悩みが最も多い、暑い時期おかず作りをする上でのポイントをクックパッド管理栄養士に解説してもらいました。
6月に入り日中の気温が25℃を越える夏日、30℃を越える真夏日(さらには35℃を超える猛暑日も!)も増えてきましたね。実は温度と比例して右肩上がりに増えてくるのが『食中毒』です。暑くて湿度の高い9月までは最も多く発生する時期。中でも調理から食べるまで時間が空くお弁当は注意が必要です。でも、具体的にどんな事に気をつけて作ればいいのか、寒い季節に作るお弁当とどこが違うのかをまとめてみました。
とにかく食中毒の原因菌は水っぽくじめじめとしたあたたかい環境が大好きということを忘れないで。つまり、お弁当の中でその環境を作らないようにする事が重要です。
手軽でお弁当に彩りを添えるのに便利なレタスやきゅうりなどの生野菜ですが、加熱しない野菜はよく洗っても土壌菌がついている可能性のあるので、この時期加熱をしないで生で入れるのは避けるべき。時間が経つと、おかずの塩分で生野菜から水分が出て菌の増殖の原因にもなります。生野菜をはさんだサンドイッチもこの時期は避けましょう。お弁当に彩りをというときにはへたを取って洗ってしっかり水気を拭き取ったプチトマト、茹でる焼くなど加熱をした彩り野菜がお薦めです。
茹でた野菜をだしに浸したおひたし、時間が経って野菜から水分が出て水っぽくなりやすい和え物などは菌は増殖しやすい環境になるので避けましょう。炒める、揚げるなど水分が出ない調理法でしっかり加熱をして味付けを。同様に、煮物も煮汁が残るものは片栗粉でとろみをつけるか、きんぴらのような煮汁の残らないものを選ぶとよいでしょう。
市販の冷凍食品を凍ったまま保冷剤代わりにお弁当に入れるという商品が売られているので、同じように家庭で作って冷凍したおかずを凍ったままお弁当に入れていませんか?実はこれもこの時期には避けたいものなのです。家庭用冷凍庫で冷凍された食品は、市販の冷凍食品に比べ凍るまで時間がかかるため、解凍時に水分が出やすく、この水分も菌が増殖する原因になるのです。自家製の冷凍おかずは必ず一度レンジなどでしっかり再加熱して冷ましたものを入れましょう。
そしてもうひとつ、手には目に見えない菌がたくさんついています。調理後の食材には手で直接触れず、盛りつけも清潔な菜箸を使うのが基本中の基本です。
茹でたほうれん草を絞って醤油をかける、塩揉みして絞ってドレッシングで和える、焼き上がったおかずを手で触れて切るなど、その後加熱をしないのに食材に手で触れるのは極力避けましょう。茹で野菜ならば手で水気を絞る必要のないブロッコリーやアスパラなどを選んで。ドレッシングや醤油は小さな容器に入れて食べる前にかけるようにしましょう。また肉や魚はひとくちサイズに切ってから加熱しましょう。
スーパーで冷蔵コーナーにおかれている『要冷蔵』の食材は暑い季節要注意です。
お弁当箱のすき間を埋めるのに便利なちくわやかまぼこやハム。気温が上がるこれからの季節にそのまま入れるのは避けて。炒める、煮るなど加熱をしてから入れましょう。
ここまでやれば食中毒対策は万全です!!
食中毒の原因菌の多くは75℃1分以上の加熱で死滅します。温度計で計らないまでも肉、魚、卵はいつも以上にしっかり加熱をしましょう。特に挽肉を手でこねたハンバーグなどは、原因菌が中まで入り込んでいる場合があるので、中心部までしっかり加熱することが大切。中心に竹串を刺して透明な肉汁が出てくれば火が通っているサインです。また、前日の残り物などをお弁当に入れる際はレンジ等で一度しっかりと加熱をしましょう。
殺菌、防腐効果のある梅干しやお酢、生姜やカレー粉などをおかず作りに取り入れると、菌の増殖を防ぐ事ができます。いつものおかずに少し加えるだけでも効果抜群です。
夏場のお弁当は、作り手としてはいつもの料理以上に気をつける点が多く大変ですが、手作りのお弁当には蓋を空ける瞬間のワクワクと、手間をかけた以上の美味しさが詰まっていますよね。暑くて大変な季節ですが、美味しく安心なお弁当作りにチャレンジしてみて下さいね。 手渡しする際には「涼しいところに置いてなるべく早く食べてね」の一言も忘れずに。
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参照サイト
・厚生労働省ホームページ
・農林水産省ホームページ
・内閣府 食品安全委員会ホームページ