ヘルシー、節約……でも、それだけじゃない! 身近な食材「お豆腐」の魅力はまだまだあるんです。この連載では、豆腐マイスター・工藤詩織さんに、お豆腐をもっとおいしく楽しむための知られざるノウハウを伝授してもらいます。「そうだったんだ!」と思わず納得の意外な活用法を知れば、きっと試してみたくなるはず♪ あなたの食卓のお豆腐が“進化”すること間違いなしですよ!
いよいよ夏本番! お豆腐が大活躍するシーズン到来です♪ さて、今回のテーマは、みんなに愛される「麻婆豆腐」です! じわじわっと汗がにじむような、辛さや痺れが夏にぴったりですよね。
「麻婆豆腐」の発祥の地は、四川省の都・成都の北にある万福橋で陳夫婦が営んでいた料理店。若くして店主の夫を亡くし、未亡人となった妻の陳さんが、住まいの両隣の「豆腐屋」と「羊肉屋」で調達できる材料から考案した豆腐料理が原型とされています。
「麻」は“あばた”、「婆」は“妻”や“身持ちの固い”という意味があり、彼女が「陳麻婆」と呼ばれていたことから「陳麻婆豆腐」の名が付きました。
時を経て、日本に「麻婆豆腐」が伝えられたのは1950年代。“中華の鉄人”として有名な陳建一氏の父・陳建民氏が、日本にある食材を使い、日本人の味覚に合わせた、よりマイルドな「麻婆豆腐」を提唱したことから、四川料理の代名詞として定着しました。
本格的な「麻婆豆腐」のレシピを見ると、“お豆腐はさいの目に切って下茹でする”という工程を見かけますよね。この下ごしらえが必要な理由は、お豆腐のぷるっとした弾力を引き出し、型崩れを防ぐためです。
ちなみに、本場中国のレシピをいくつか調べてみると、下茹での際に欠かせないのが「塩」。
通常、塩分を多く含むソースにお豆腐をそのまま入れると、塩分の「浸透圧作用」が働いて、ソースの塩分を薄めようと、お豆腐から水分が出てきやすくなります。これを防ぐために、お豆腐自体にある程度の塩分を含ませておくのだそうです。ほんの一手間がお豆腐の食感を変え、仕上がりをレベルアップしてくれるのですね。
下ごしらえの意義は理解できたものの……「やっぱりもっと簡単に作りたい!」という方へ、3つのお手軽レシピをご提案します。いずれも、下茹での工程なしでもおいしく食べられる麻婆豆腐ばかりですので、ぜひお試しください!
1つ目は、「崩し麻婆豆腐」。あえて柔らかい絹豆腐や寄せ豆腐を使って、鍋にお豆腐を入れてからヘラやお玉でかき混ぜ崩していく作り方です。
スルッと飲み込める麻婆豆腐は、ご飯にのせて「麻婆豆腐丼」もよさそうですね! 崩し加減はお好みで、敢えて不揃いに崩せば、大きめのお豆腐に残る大豆の甘みが、辛さを緩和してくれますよ♪
2つ目は、「厚揚げ麻婆豆腐」。揚げてあるお豆腐は型崩れの心配がありません。油で揚げてある分、コクが加わるので、肉を少し減らしても物足りなさを感じにくいところも魅力的です。
厚揚げは、普通のお豆腐よりも味が染み込みづらいので、6等分程度に切った厚揚げをさらに斜めに切り、三角形に切るのがオススメ。そうすると、白いお豆腐の部分の表面積が広がり、ソースが染み込みやすくなります。
最後に、究極のズボラさんへご提案するのが「麻婆冷奴」。お豆腐の下ごしらえはもちろん不要、冷蔵庫から出したらカットするだけです!
冷えたお豆腐に熱々の麻婆ソースをかけたら完成。温・冷のコントラストがなかなか新鮮です。もちろん、ソースを冷やして「冷製麻婆豆腐」にしてもおいしいですよ。水分が出にくい「充填タイプ」の絹豆腐を使ってみてくださいね。
いかがでしたか? ほかにも、和風だしやお味噌で味付けし、辛さを抑えた麻婆豆腐や、お肉の代わりに干しえびをたっぷり入れた麻婆豆腐など、クックパッドには「アレンジ麻婆豆腐」のレシピもたくさん掲載されています。
使うお豆腐を変えてみたり、ベースになるソースにアレンジを加えてみたり、無限大に楽しめる「麻婆豆腐」をこの夏も楽しんでみてくださいね♪
幼少から豆中心の食生活を送り、豆腐がいつも暮らしの中心にある無類の豆腐好き。日本語教師を目指して勉強する過程で、食文化も一緒に伝えたいと「豆腐マイスター」を取得。国内にとどまらず海外でも、手作り豆腐ワークショップや食育イベントを実施して経験を積む。2018年より「往来(おうらい)」をテーマに本格的に活動を開始。豆腐関連のイベント企画・メディア出演などを通して、各地で豆腐文化の啓蒙活動を行っている。「マツコの知らない世界」(TBS系)、「ヒルナンデス」(日本テレビ系)、「ごごナマ」(NHK)等へ出演。
【
Facebook】まめちゃんのダイズバーシティ計画!
【Instagram】@tofu_ a _day