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コラム

甘辛醤油と魚卵の旨みでごはんが進む!いくらの醤油漬け【至福の「ごはんのおとも」レシピvol.7】

これさえあれば白ごはんが何杯でもいける!というような絶品ごはんのおともに出会ったら、ごはんライフが楽しくなること間違いなし。ただし、ごはんのおともは「おかず」ではなく、あくまでも“ごはんの味”を美味しく引き立ててくれる存在。主役は白ごはんです。だからこそ、そのレシピはシンプルに。日常の白ごはん量がぐんとアップするようなごはんのおともを、お米ライター柏木智帆がお届けします。

白ごはんを食べなければもったいない!

「ごはんのおとも」の中には、お酒の肴になりそうなものもありますが、個人的には「いくらの醤油漬けはお酒だけでは受け止めきれない!」と思っています。たとえば、いくらの醤油漬けを大根おろしで和えたものを肴に日本酒を飲み始めても、「ああ、やはり白ごはんがほしい」と思ってしまうのです。

いくらの醤油漬けを白ごはんにのせると、いくらのキラキラとごはんのツヤが相乗して、そのまばゆさにうっとり。口の中でぷちっと弾ける卵の中からとろりと広がる強烈な旨みは、白ごはんの最高の口内調味! もはや「白ごはんを食べなければもったいない」とさえ感じられます。

ところが、市販のいくらの醤油漬けは私には少ししょっぱすぎる場合が多く、家庭でいくらの醤油漬けを食べることはほとんどありませんでした。そんなとき、母が旬の生いくらを買ってきて作ってくれた醤油漬けを食べて、その優しい味わいにすっかりはまってしまいました。

弾ける魚卵の旨み!


醤油とみりんのバランスはお好みによって変えてみてください。ごはんのおともメニューでありながら、いくらをたっぷりのせたごはんは日本酒のつまみにもなります。米(酒)を呑んで米を食う。秋の夜長の晩酌にもぴったりです。

たまごかけごはんのおいしいコツ

いくらの醤油漬には、粒張りが良い、しゃっきりとしたタイプのお米がおすすめです。弾力が少ない軟らかめのごはんだと、いくらの皮が弾けて口の中に広がる濃厚な「とろり」の波にごはんの食感が巻き込まれてしまいます。

どの品種がおすすめか、具体的な名前を挙げたいところですが、同じ品種でも地域や栽培方法、その年の米質などによって食味が変わるため、お米屋さんに行って「粒張りが良い、しゃっきりとしたタイプのお米」はどれかを聞いて選んでいただくのが確実です。

粒張りが良い、しゃっきりタイプのお米は、卵白がどろりとして卵黄が濃厚な「たまごかけごはん」にも合います。

鶏の卵は、鮭の卵(いくら)と同じ「卵」でも、安価で1年を通して手に入りやすく、私たちの食卓に登場する機会が多いせいか、独自の“流儀”を持っている人が多いようです。

たとえば、卵黄と卵白を醤油と一緒にかき混ぜてからごはんにかける派、ごはんに作った「エッグポケット(くぼみ)」に卵を割り落とす派、ごはんに醤油をまぶしてから溶いた卵をかける派、カラザを徹底的に取る派、醤油を使わずに塩とオリーブオイルで食べる派、などなど。

私はカラザを取らずに卵をエッグポケットに割り落とす派です。黄色と白色のコントラストを目で楽しみ、卵黄の濃厚さと卵白のつるんとした食感をそれぞれ別々に楽しむことができます。

ちなみに、卵黄と卵白を別々に味わうことを徹底しているのは、福島県・会津坂下町の養鶏農家『やますけ農園』。茶碗の真ん中でごはんの山を作り、片方の山のふもとに卵白、もう片方の山のふもとに卵黄を入れるというふうに、卵黄と卵白をごはんでしっかりと“セパレート”する食べ方を推奨しています。卵黄を楽しみ、卵白を楽しみ、最後にはかき混ぜて、1杯のたまごかけごはんで3度の食べ方を楽しむことができます。

同じたまごかけごはんでも食べ方ひとつで味わいはずいぶんと変わります。「いくらかけごはん」の旬は限られていますが、いくらの漬け方、お米の品種、ごはんの温度など、さまざまな食べ方を試してみて、ご自身の“流儀”を探してみてはいかがでしょうか。

柏木智帆

お米ライター。元神奈川新聞記者。お米とお米文化の普及拡大を目指して取材するなか、お米農家になるために8年勤めた新聞社を退職。2年にわたってお米を作りながらケータリングおむすび屋を運営した。2014年秋からは田んぼを離れてフリーランスライターに。お米の魅力や可能性を追究し続ける、人呼んで「米ヘンタイ」。
【ブログ】柏木智帆のお米ときどきなんちゃら
【クックパッド】柏木智帆のキッチン

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