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コラム

これからのシーズンにおすすめの「発酵鍋」とは?【体の内側からキレイを目指す!美腸ライフVol.10】

食と健康のエキスパート・管理栄養士の藤橋ひとみさんが「腸活」に関する豆知識をお届けする連載。「腸」は美容・健康の鍵を握る臓器。様々な心身のトラブルの解消のために日々の食生活の中で継続して実践できるメンテナンス術を分かりやすくご紹介していきます。

ぐっと朝晩が冷え込む季節になりましたね。この時期に急に恋しくなってくるのが、体を芯から温めてくれる鍋料理ではないでしょうか。ここ数年続く「腸活」ブームに伴い、飲食店でもさまざまなメニューが考案され、昨年から全国的にトレンドとなっているのが「発酵鍋」ですが、皆さんはこの名前を一度は耳にしたことはありますか?

今回は寒い季節の美腸ライフにぜひ取り入れていいただきたい「発酵鍋」について、その作り方のコツを含めてご紹介をしていきたいと思います。

昨年からトレンド到来中の「発酵鍋」とは?

そもそも「発酵鍋」とは、具材やスープ、つけだれに、味噌やキムチ、チーズ、ヨーグルト、納豆などの発酵食品を使った鍋料理のことを言います。

乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を摂取することができ、腸内環境の改善に役立つことから、美容・健康への嬉しい働きが期待され、幅広い世代から注目を集めている発酵食品。その心身への影響以外にも、発酵によって生まれる“うま味”を活用することで、簡単においしく料理を仕上げられるという魅力も相まり、日頃の食生活の中に意識的に取り入れる人が増えているようです。

これは鍋料理においても同様で、発酵食品を加えることで、スープの味わいに深みが加わり、やみつきになるおいしさになることも人気の理由のひとつとなっています。ちなみに、発酵食品に含まれる菌は鍋料理で加熱してしまっても大丈夫なのかと不安に思われる方もいるかもしれませんが、死菌にも腸内環境を整える働きがあることが明らかになっているのでご安心を。 [1]

「発酵鍋」はおうちでも簡単に作れるのも魅力♪

外食でも人気の「発酵鍋」ですが、発酵食品や発酵調味料があれば、おうちでも簡単に様々なバリエーションの「発酵鍋」を作ることができます。例えば、スープを発酵調味料である味噌ベースにしたり、具材にキムチ、チーズを入れるのは、いわゆる味噌鍋、キムチ鍋といった定番鍋メニューなので、違和感なく取り入れやすいのではないでしょうか。また、鍋に入れるお肉を塩麹に漬け込んでおくと、より柔らかくおいしくなりますよ。

他にも、少し変わり種かもしれませんが、ヨーグルトや甘酒、塩麹をスープの隠し味に加えたり、納豆を具材に加えるアレンジにも、ぜひチャレンジしてみて欲しいです。

美腸パワーを引き上げる、おすすめの組み合わせ

「発酵鍋」に必須の要素である発酵食品は「プロバイオティクス」と呼ばれる、腸内で私たちに嬉しい働きをしてくれる善玉菌を摂れる食品ですが、それに加えて「プレバイオティクス」と呼ばれる善玉菌のえさとなる、食物繊維やオリゴ糖を含む食材を一緒に併せて摂ることを「シンバイオティクス」といい、腸内環境改善により効果的であることがわかっています。

そこで、せっかく「発酵鍋」を作るなら、鍋に入れる具材選びに意識を向けてみることで、美腸パワーを高めてみてはいかがでしょうか。

まずは食物繊維全体に着目すると、鍋の具材には欠かせない野菜・芋・きのこ・豆類や、海藻、果物に多く含まれるため、特に意識をしなくても自然と摂れていることが多いですが、私のおすすめは、水溶性・不溶性の2つの食物繊維の種類のうち、不足しがちな水溶性の食物繊維が摂れる食品を積極的に選ぶこと。水溶性の食物繊維は、ぬるぬるネバネバした食材に多く含まれているので、例えば、山芋(長芋)や里芋、なめこ、納豆が該当します。

次にオリゴ糖が摂れる食材として「発酵鍋」の具材としておすすめしたいのは、玉ねぎやごぼう、豆腐や油揚げ、湯葉、豆乳などの大豆製品、ニンニク、ねぎなど。どれもあまり変わり種ではないので、取り入れやすいですよね。 [1,2]

冬はあったかお鍋で、家族みんなで手軽においしく美腸ライフを

はじめて「発酵鍋」という言葉を聞くと、何か変わった特別なメニューなのかと思われる方もいるかもしれませんが、意外と「意識しなくてもこれまで食べていた!」という方も多いような、私たち日本人に馴染みの深いメニューだったのではないでしょうか。

ぜひこの冬は、スープや具材の組み合わせにも少し意識を向けて、おうちで手軽に美腸ライフを楽しんでみてください。

管理栄養士 藤橋ひとみ(ふじはし・ひとみ)

I’s Food & Health LABO.代表。フリーランス管理栄養士として、商品開発やレシピ開発、コラム執筆やメディア出演、コンサルティング等、幅広く活動中。同時に、東京大学大学院にて医学博士取得を目指し、栄養疫学の研究に取り組んでいる。大のお豆腐好きが高じて、豆腐マイスターの認定座学講師として、国内外で日本の豆腐の魅力を伝える活動をしているなかで、その原料である大豆自体への興味が深まり、大豆関連の資格の制覇を目指し、学びを深めている。
近年は特に、豆腐を作る際に同時にできる「おから」に注目し、日本人に必要な食物繊維の宝庫でもある「おから」を、有効活用できる方法を広げる活動に注力している。著書に「おいしく食べてキレイになる!おから美腸レシピ(ベストセラーズ)」がある。

●所有資格
管理栄養士、調理師、製菓衛生師、豆腐マイスター、食育豆腐インストラクター、豆乳マイスタープロ、おから味噌インストラクター、ソイオイルマイスター、おから再活プロデューサー、インナービューティープランナー、ほか

【ホームページ】https://is-food-health-labo.com/
【ブログ】https://ameblo.jp/hitomi880807

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