【体の内側からキレイを目指す!美腸ライフVol.18】食と健康のエキスパート・管理栄養士の藤橋ひとみさんが「腸活」に関する豆知識をお届けする連載。「腸」は美容・健康の鍵を握る臓器。様々な心身のトラブルの解消のために日々の食生活の中で継続して実践できるメンテナンス術を分かりやすくご紹介していきます。
日に日に気温が高まり、冷たいビールがおいしい季節がやってきました! 今年も家飲みが多くなるかもしれませんが、ビールのお供といえば、枝豆を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?シンプルに塩茹でしたものを食べるのも最高ですが、たまにはひと手間加えてアレンジしてみると、新たなおいしさと出会えるかもしれません。今回は意外と知られていない枝豆の豆知識と、おいしいだけでなく腸活にもいいおすすめの食べ方をご紹介します。
実は、枝豆は大豆を未成熟のうちに収穫したものであることはご存知でしょうか? 昔は、田植えが終わったあぜ道に農家が自家用として作っていたので、「あぜまめ」と呼ばれていました。その後、枝付きで売られていたことから「枝豆」が一般的な呼び方となったのです。近年では、大豆として出荷するために育てられている品種とは別に、枝豆に適した専用の品種が流通しています。
枝豆は夏から秋の5〜10月に出回りますが、真夏の7〜8月に出荷のピークを迎え、今がまさに旬の時期です。もともと枝豆を食べる食習慣は日本独自のものでしたが、近年の健康志向や日本食ブーム、冷凍技術の普及により、北米やヨーロッパ等の海外でも枝豆が食べられるようになりました。[1]
大豆は「畑の肉」と呼ばれるくらい栄養価が高いことはよく知られていますが、そんな大豆の若者である枝豆にも同様に、たんぱく質のほか、ビタミンB1、ビタミンB2、葉酸等のビタミンや、鉄、カルシウム、カリウム等のミネラルが豊富に含まれています。暑い時期、食欲が落ちてしまうと、より一層不足しがちな栄養素を効率よく摂れるとてもありがたい食材なのです。
他にも、腸活に役立つ食物繊維やオリゴ糖も豊富に含む優れもの。そのまま塩茹でしておつまみやおやつに、ご飯と一緒に炊いて枝豆ご飯に、他の食材と合わせておかずの1品にと、様々なシーンで夏の美腸ライフに貢献してくれます。 [1-3]
枝豆は、時間の経過とともに独特の風味と甘さが落ちてしまうため、鮮度が命! さやの色が鮮やかで、中の豆の粒の大きさがそろっているものを選びましょう。枝付きで売られている場合は、葉が生き生きとしていて、丈が低く、さやが密生しているものを選ぶといいですよ。枝付きの方が、鮮度が保たれているので、より新鮮で豊かな風味を味わえます。
色よく茹で上げるためには、茹でる前に多めの塩でもみ、余分なうぶ毛をとってあげるのがコツです。さやの両端をハサミで切り落とすと、塩味がしみこみやすくなります。茹で時間は、5分以上茹でると旨みが溶け出しやすいので、約3~5分がおすすめです。
たくさん購入し、その日のうちに食べきれない場合は、先にまとめて茹でておき、上手に保存するのがおいしさを保つ秘訣です。保存用は短時間で硬めに茹で上げて、粗熱と水分を飛ばし、ジップ付きの袋に入れて冷凍庫へ。食べる直前に凍ったまま熱湯でサッとひと茹ですれば、ちょうどよい食感とそのままの旨みを楽しむことができます。
美腸ライフに取り入れるなら、組み合わせを意識してひと工夫してみましょう。おすすめは、キムチやチーズなどの発酵食品やオリーブオイル、オメガ3の油が摂れるツナやアマニ油、エゴマ油といった他の美腸食材との組み合わせです。これらの食材は混ぜたり、かけたりするだけで、いつもと異なる雰囲気を味わえるおいしいおつまみができますよ。[4]
枝豆はヘルシーなイメージがありますが、野菜の中では脂質が比較的多く、可食部(ゆで)100gあたり118kcalあるため、低カロリーとは言いきれません。もちろん、おやつで食べるものを甘いお菓子やスナック菓子から枝豆に、またおつまみとして食べるものを揚げ物から枝豆に代えることで、カロリーを抑えることができますが、罪悪感のなさにうっかり食べすぎてしまうことがないようにしたいですね。また、塩茹でをした上にさらに塩を振って食べる人も多いため、食べ過ぎてしまうとカロリーオーバーと同時に塩分の摂りすぎにつながる恐れもあるため注意が必要です。どんなおいしくても食べ過ぎには気をつけましょう。[2]
枝豆は、栄養豊富でおいしいだけでなく腸活にも役立ち、様々なシーンで活躍してくれる万能食材。価格もお安くなってくる旬の時期に、新鮮でおいしい枝豆をゲットして毎日の美腸ライフに取り入れてみてはいかがでしょうか。
〈出典〉
[1] 農林水産省(北陸農政局),今月の園芸特産作物:7月 えだまめ
[2] 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
[3] 厚生労働省「e-ヘルスネット|食物繊維の必要性と健康」
[4] 厚生労働省「e-ヘルスネット|腸内細菌と健康」
(全て2021年7月8日 参照)
※ メイン写真は記事をイメージして選定させていただきました
画像提供:Adobe Stock
I’s Food & Health LABO.代表。フリーランス管理栄養士として、商品開発やレシピ開発、コラム執筆やメディア出演、コンサルティング等、幅広く活動中。同時に、東京大学大学院にて医学博士取得を目指し、栄養疫学の研究に取り組んでいる。豆腐や豆乳、ソイオイル、味噌など、大豆関連の資格を多数所有し、大豆や腸活分野の専門家として活動する中で、最近は日本人が不足しがちな食物繊維の宝庫である「おから」に注目し、有効活用できる方法を広げる活動に注力している。著書「おいしく食べてキレイになる!おから美腸レシピ(ベストセラーズ)」
●所有資格
管理栄養士、調理師、製菓衛生師、豆腐マイスター、食育豆腐インストラクター、豆乳マイスタープロ、おから味噌インストラクター、ソイオイルマイスター、おから再活プロデューサー、インナービューティープランナー、ほか