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コラム

人気料理家・サルボ恭子さんが提案する、日々を助ける「びん詰めそうざい」

【今週のおすすめの一冊 vol.42】編集部が特に「おもしろい!」と注目した料理にまつわる本をピックアップし、気になる中身をダイジェストでお届け。今回は『毎日おいしい びん詰め』(文化出版局)についてご紹介します!

忙しい時に活用したい「びん詰めそうざい」

子どもたちの夏休みが始まり、普段以上に調理回数が増えて忙しくなる時期がやってきました。そんな時におすすめしたいのが、人気料理家・サルボ恭子さん考案の「びん詰めそうざい」。

本書で紹介されている「びん詰めそうざい」とは、保存瓶に詰めて作ったストックそうざいのこと。保存瓶を活用すれば、調理と保存が一度の手間で済むメニューもあり、手軽な調理で長期保存できるのが特徴です。保存期間はメニューにもよりますが、冷蔵なら10日〜2週間、冷凍すれば1か月〜3か月ほど。透明度が高いガラス製の瓶は、保存時に中身を確認しやすいのも嬉しいポイントです。

保存瓶を活用するメリットは保存だけではなく、味わいにも。瓶ごと調理するコンフィや、瓶で作るオイル漬け・野菜煮は、素材からうまみが溶け出し、漬け汁や油まで味わい深く仕上がります。肉や野菜の具をそのまま味わうだけでなく、漬け汁や油をソースとしてかけたり絡めるだけですぐに一品完成するので、使い勝手が良く、忙しい時に活躍してくれます。

簡単なのに美味しい。その理由とは?

びん詰めそうざいを美味しく作るコツは「和、洋、中、エスニックの食材をミックスすることにある」と語るサルボさん。そうすることで、多様性のある日本の食事に合い、幅広いメニューに活用できるんだそう。

またびん詰めそうざいを作る上で時間と手間をかけないことも重要なんだとか。確かにレシピは身近、かつ少ない食材で構成されており、手軽に作ることができそうです。

素材のうまみが凝縮。絶品「びん詰めそうざい」レシピ

今回は、本書からアレンジ幅が広く実用性が高い「しらすのコンフィ」、「ミックスきのこのだしオイル漬け」のレシピを紹介します。アレンジレシピもお伝えするので、ぜひ参考にしてもらえたら。

しらすのコンフィ

しらす干しのうまみが溶け込んだオイルは絶品!コンフィとは素材を低温の油でじっくり煮る料理です。保存瓶を活用して湯せんで火を通す方法と、鍋でじか火で火を入れる方法の2種類をご紹介します。ぜひお好きな調理法で作ってみてくださいね。

<材料>(約125mlの保存瓶1個分)
しらす干し……80g
にんにく……1/2かけ
オリーブ油……適量

<作り方>(湯せんの場合)
1. 保存瓶にしらす干しとにんにくを入れ、しらす干しが隠れるくらいまでオリーブ油を注いで蓋をする。

2. 保存瓶の油の高さまで湯に浸かるような深鍋にキッチンペーパーを二重にして敷き、1を入れて油の高さまで水を注いで中火にかける。

3. 沸騰したら火を弱め、湯が静かに沸騰している状態で50分湯せんにかけ、火を止める。手で湯がさわれるくらいに冷めるまでそのままおく。

4. 保存瓶を取り出し、完全に冷めたら冷蔵庫で一晩ねかせる。

<作り方>(鍋の場合)
1. 鍋にしらすとにんにくを入れて、しらすが隠れるくらいまでオリーブ油を注ぎ、中火にかける。

2. 沸騰したら火を弱め、静かに沸騰している状態で20分煮て火を止める。

3. ぬるいくらいまで冷めたら材料を保存瓶に移し、鍋の油をしらすが隠れるまで注いで蓋をし完全に冷めたら冷蔵庫に入れて一晩ねかせる。

※保存:冷蔵庫で10日、冷凍庫で3か月

アレンジ:しらす冷ややっこ

豆腐にかけるだけのシンプルレシピ。洋風冷ややっこの味の決め手はうまみたっぷりのオリーブ油です。

<材料と作り方>(1人分)
器に絹豆腐小1丁を盛り、しらすのコンフィ大さじ1と削り節適量をのせる。

ミックスきのこのだしオイル漬け

香り高いきのこ数種をソテーして少量の白ワインと水を加えるだけ。きのこのうまみがだしになるので塩のみの味つけに。おろしあえや塩ラーメンの具、焼いた鶏肉にかけたり豚肉や魚のソースにもできる万能さです。

<材料>(約500mlの保存瓶1個分)
しめじ……2パック(200g)
エリンギ……2パック(6本)
マッシュルーム……1パック(小8個)
にんにくの薄切り……1/2かけ分
塩……小さじ1/2
白ワイン……大さじ2
オリーブ油……大さじ1と1/2
水……1/2カップ

<作り方>
1. きのこ類は根元を切り落とし、しめじは2センチ幅に切ってほぐし、マッシュルームは5mmの厚さに切る。エリンギは2センチの長さに切ってから縦に薄切りにする。

2. フライパンににんにくとオリーブ油大さじ1を入れて中火にかけ、1、塩、白ワインを加えてきのこがしんなりするまで炒める。

3. 分量の水を加え、味をみて足りないようなら塩(分量外)を加え混ぜ、オリーブ油大さじ1/2を加えて火から下ろす。冷めたら保存瓶に移す。

※保存:冷蔵庫で2週間、冷凍庫で3か月

アレンジ:きのことオクラのあえそば

きのこはうまみの宝庫。ここにオクラが加わると、ネバネバ感とコリッとした食感が楽しいそばに。

<材料と作り方>(1人分)
オクラ2本はなり口を切り落として小口切りにする。鍋に湯を沸かしてそば(乾麺)1束を表示時間どおり茹でてざるに上げ、冷水で洗って水気をよくきり、ボウルに入れる。オクラとミックスきのこだしオイル漬けのきのこ70gとオイル適量を回しかけて器に盛る。

ていねいな暮らしを実践する充実感も

本書では、フランス生まれの保存瓶「ル・パルフェ」が使われており、高級感あるガラス瓶に多種多様な食材が詰まるビジュアルはうっとりする美しさ。

吸盤のついた足がにょろっとのぞくタコのコンフィ、うずら卵で作る中華風ピクルス、ぶどうやキウイ、ドライフルーツで作るカラフルなコンポートなど、内容物が見える保存瓶の特性を活かした映えるレシピはどれも作ってみたくなります。

今回記事ではそうざいレシピを紹介しましたが、本書には保存瓶で作る調味料レシピも掲載されています。漬け込んで作る塩レモンジンジャーなどのシロップやソース、ハーブチーズソルトなどの調味塩、食材を練り込んで作るアーモンドシュガーバターなど、活用することで料理のレパートリーが広がる魅力的なラインナップになっています。

おいしそうなレシピ写真に目移りしながら、作るレシピを決める時間はまさに至福のひととき。作ることで忙しい日々を助けると同時に、ていねいな暮らしを実践する充実感も味わえそうです。興味のある方は、ぜひ本書を手に取ってみてくださいね。

(TEXT:小菅祥江/撮影:宮濱裕美子)

毎日おいしい びん詰め』(文化出版局

サルボ恭子さん

料理家。老舗旅館の長女として生まれ、料理家の叔母に師事したのち渡仏。パリのグランメゾンで研鑚を積み帰国。素材と向き合い、その持ち味を引き出す料理に定評がある。雑誌やテレビなどでも活躍し、洗練された家庭料理には根強いファンも多い。現在は日本でフランス語教室を主宰する夫と自身の両親の四人暮らし。『ストウブマスターブック』(学研プラス)、『おもてなしは一品豪華主義でいい』(誠文堂新光社)、『フランス共働き家庭の2品献立』(立東舎)など著書多数。

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