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インタビュー

簡単だけど“丁寧に作ってる感”はほしい。料理家・長谷川あかりさんに聞く、心も身体も喜ぶ料理

幼少期は子役として活躍し、結婚を機に管理栄養士の道へと進んだ長谷川あかりさん。食について学んでいく中で「趣味の料理」と「家事の料理」の違いを強く感じたのだそう。楽しいことばかりではない家事としての料理。ラクしたい!作りたくない!と思ったときは、どうすればよいのでしょうか。長谷川さんに料理を楽しむコツについて聞いてみました。

料理したくないけど外食の気分でもない日、どうする?

正直、今は料理をしなくても生きていける時代ですよね。外食もあれば宅配もあって、世の中に“食”があふれています。私も作りたくない日は外食にしたりします。でも、困るのは「作るのは面倒だけど、外食やデリバリーでもないな〜」という気分の日。皆さんはどうしていますか?私はそういうとき、自分ができる範囲でちょっとやってみようかなと思えるところまでやってみるようにしています。

簡単であることは大前提。ほしいのは“丁寧に作ってる感”

例えば、ご飯と味噌汁だけ作ってあとはお惣菜にしてしまうとか、メインは買ってきて副菜だけ作ってみるとか。0か100ではなくて、そういう日があっても全然いいと思うんです。でも、せっかく作るなら作っていて楽しいものがいいし、さらにはそこに“作ってる感”もほしいですよね。そんなときは、丁寧に作ったように見えるように、なるべく調味料や食材を少なくして、素材を活かした料理を作ることが多いです。食材の味を活かした料理って体にもいいし、丁寧に作った感じに見えて気分も上がるんです。「こんな料理が作れる私すごい!料理が上手なのかも!」っていい意味で勘違いできるというか(笑)。そんなふうに簡単だけど達成感を得られるレシピを考えています。

各人のお皿で混ぜて食べる、これでいいじゃんポテサラ

野菜はたくさん使わず、1皿に1つでもいい

きっと皆さんが料理って面倒くさいと思うのって、下ごしらえをしているときだったりしませんか?特に野菜。皮剥きや湯通しの工程が減ったらラクだろうな〜と思うことが何度もあります。だから、私は野菜をたくさん使う料理は作らないようにしています。あれもこれも使わずに、ひとつの料理の中に入っている野菜は多くて2種類。そうすると調理がぐんとラクになりますよ。

1種類、多くて2種類しか使わないと1日の野菜の摂取量が減ってしまうことを気にされる方がいますが、現実的に考えて1日何十種類もの野菜を毎日とり続けるのはなかなか難しいので、私は1ヶ月単位で考えるようにしています。そう決めて、その野菜を使い切ったら違う野菜を買って、また別の野菜で料理を作るというのを繰り返していけば、1ヶ月くらいでいろいろな野菜を食べたことになるので、それくらいゆるい考えでいいと思います。できれば冷蔵庫の中には色の濃い野菜(緑黄色野菜)2種類、色の薄い野菜(淡色野菜)2種類くらい揃っていればOK。たくさん野菜を買うと早く使い切らなきゃと迫られる感じがありますけど、その方法なら無理なく使いきれて家計にも優しいので「1皿1野菜」がおすすめです。

SNSで大バズり!茎まで使い切れるブロッコリーレシピ

野菜を使ったレシピは私のSNSでも好評で、この前は「ブロッコリーの茎を使ったレシピ」にたくさんのいいねやコメントをいただきました。茎を捨ててしまうことへの罪悪感から開放されて無駄なく食材を使いきれますし、このレシピは調味料に漬けておくだけなので簡単です。

無駄なし!ブロッコリーの茎の塩麹漬け

フォロワーさんだけでなく、家族からも好評だったのが「白菜と豚肉をお酢で煮込んだ料理」です。夫が「米が止まらないぜ!」って海外ドラマみたいなリアクションをしてくれました(笑)。やっぱり作った料理を褒めてもらえるとうれしいですよね。夫はまったく料理ができないのですが、盛りあげ担当としていつもおいしそうに食べてくれます(笑)。

白菜泥棒の「豚肉と塩もみ野菜のすっぱ旨煮」

意外と使える野菜「かぶ」

無駄なく使える野菜はほかにもあって、私はよく「かぶ」をよく使います。皮ごと食べられますし、葉の部分も食べられて、捨てるところはほとんどないとてもサステナブルな食材です。生で食べてもいいし、煮てもおろしてもいい。しかも、1束5個くらいあるので、買った初日はメインに焼いたかぶを添えて、次の日は味噌汁にして、その次の日は副菜にすることもできてとってもお得なんです。葉は炒めてもいいですし、塩揉みしてご飯に混ぜてもおいしいですよ。本当に万能な野菜だと思います。旬は冬ですが、春や夏も冬とは違った辛味を味わうことができます。

意外な組み合わせ。かぶとゆかりクリーム煮

作りたくないときは作らない!きっと自然と作りたくなる

私は料理ってやっぱり“楽しく作る”ということが絶対大事だなと思うんです。だから、クタクタで料理を作りたくない、楽しく作れそうにないというときは、1回離れてしまうのもひとつの手だと思います。そうすると、1週間も経ったら「体のことを考えて今日はご飯とお味噌汁だけは作ってみよう」とか「ちょっと時間があるからサラダくらいなら作れそう」とか「サイトで見たあのレシピがおいしそうだったから作ってみよう」みたいに料理をする気持ちが自然と沸いてくると思います。そんなとき、私のレシピが少しでも皆さんのお役に立てたらうれしいです。 (TEXT:河野友美子)

『つくりたくなる日々レシピ』(扶桑社)が発売決定!

長谷川あかりさんの2冊目のレシピ本『つくりたくなる日々レシピ』が6月14日に発売予定。SNSで話題を呼んだレシピのほか、未公開レシピを含む60品をたっぷり収録。時短料理でもなく、丁寧料理でもない。でも、「料理をしている感」がきちんとあって、私ってこんなのつくれるの?と思わず自画自賛してしまうはず。おいしく、体にやさしいだけでなく、自己肯定感まで上がる欲張りなレシピ本です。

長谷川あかりさんの春レシピ掲載『cookpad plus 2023年春号』(扶桑社

季節のレシピのほか、ちょっと素敵な暮らしの情報をお届けする季刊マガジン『cookpad plus』。2023年春号では、春キャベツ・新じゃがいも・新玉ねぎを使った時短・簡単・ボリューム満点のレシピや、卵を使ったレシピなど旬の食材や春らしさを楽しめるレシピが盛りだくさん。その他に「みんなのお弁当人気ランキング」「笑顔こぼれる 手づくりおやつ」などのアイデアも紹介しています。特別付録は、ムーミンの磁器のボウル皿2個セットです。
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長谷川あかり

料理家、管理栄養士。なんでもない日を幸せにする、シンプルで豊かなごはんのレシピを投稿したSNSで人気。 著書に、『クタクタな心と体をおいしく満たす いたわりごはん(KADOKAWA)』がある。

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