【ドキュメンタリーレストラン ゼロ vol.1】出張料理人・ソウダルアさんが、日本中で日々失われていく食材をメインに据えたコース料理を考案し、そのレシピをお届けします。連載第1回目のテーマは、「蓮根」のフルコース。『レストラン ゼロ』開店記念メニューを、どうぞご堪能ください。
その昔、フランスの政治家が言いました。
“君が何を食べるか言ってみたまえ
君が何者であるかを言い当てよう”
このような諺もあります。
“You are what you eat”
あなたの食べたものであなたはできている
食べたもので自分がつくられるならば、日々、食べるものによって、新しい自分を産み出すこともできるのではないでしょうか?
日本中で日々、失われていく食材をメインに据えたコース料理をつくり、その素材とレシピを全国に、いつかは世界の皆さまにもお届けしたい。
そんな思いから、この連載は生まれました。
毎回、1つの食材にフォーカスし、その食材が持つ魅力を余すところなく引き出し、味わい尽くして使い切る、最高のフルコースをご紹介します。
あなたが今日、食べるもので世界が少しやさしくなる。
ゼロフードロス、ゼロウェイスト、ゼロマネー。
いつの日か、そんな美しい絵空事が当たり前に世界中で行われることを目指して、『レストラン ゼロ』を開店いたします。
聞くと、「蓮根」は食べる人が減っていて全国的に余っている状態だそう。収穫にも手間がかかり、つくり手も減ってきていると。
確かに、あまり向き合ったことのない素材。
煮物、きんぴら、はさみ揚げ……
辛子蓮根は好きだけれど、日々、食べるかと言われると、、、
栄養価も高く、安価だけれど、固さと調理法のヴァリエーションが少ないところが食べられていない理由かもしれない。
せっかくの機会なので、いつもと違うコーディネートをしてあげて、いつもよりちょっと華やかな装いで、知らなかった魅力を味わい尽くすお料理を、このレストランの最初のメニューにしてみよう。
その形から、「先の見通し」がきく縁起の良い食材と言われており、オープンを飾るのにも相応しい食材だ。
まず、そのまま囓る。
固い、渋い。
知っていたことだけれど、スタート地点を知ることは大事。
そう言えば、仏さまは蓮の花から生まれたという謂れがある。
この口苦さを通り抜けてこその悟りがあるということなのかもしれない。
仏の教え、とまでは言わないながらも、ほかの素材も自然に負荷が少ないものを扱いながら、美味しく豊かさのあるお料理にしていきます。
蓮根 500g
a
干し椎茸 10g
水 350ml
b
塩 大さじ1
昆布粉 10g
オリーブオイル 大さじ3
1. 蓮根を小さめの乱切りにして、aと一緒に鍋に入れ、蓋をして弱火で蒸し煮にする。
2. 蓮根が箸がすっと通るくらいやわらかくなったら(45分〜1時間)、bを入れ、溶かし込む。
3. オリーブオイルを加え、ひと煮立ちしたらミキサーにかければ完成。
※干し椎茸と昆布粉の代わりに白だしでもOK。
蓮根ピュレ 150ml
豆乳 300ml
塩 小さじ1
オリーブオイル 小さじ1
胡椒 適宜
1. 蓮根ピュレ、豆乳、塩を鍋に入れ、火にかける。(少し混ざりづらいので弱火にかけながら豆乳を入れていく)
2. 器に盛り、オリーブオイル、胡椒をかければ完成。
蓮根ピュレ 150ml
舞茸 1パック
マッシュルーム 1パック
エリンギ 1パック
ピーナッツバター(加糖・無糖どちらでもOK) 50g
オリーブオイル 50ml
塩、胡椒 適宜
1. 茸を手で細かくほぐし、オリーブオイルで炒める。
2. オイルが回り、しんなりしてきたら蓮根ピュレ、ピーナッツバターを加え、混ぜ合わせる。
3. お好みで塩、胡椒を入れ、味を整えれば完成。
菜の花 1/2パック
蓮根ピュレ 100ml
エクストラバージンオリーブオイル 小さじ1
1. 菜の花の茎(下半分くらい)を斜めに細く切り、上半分の花の部分を4〜5片に切り分ける。
2. 小鍋に大さじ1の水と茎を入れ、蓋をして弱火であたためる。
3. 湯気が出てきたら、花の部分を入れて蓋をして、火を止めて、1分蒸らす。
4. 蓮根ピュレを皿に敷き、菜の花を茎から盛り付け。
5. エクストラバージンオリーブオイルをかければ完成。
a
オリーブオイル 100ml
昆布だし(濃いめ) 100ml
にんにく 4〜5片
赤唐辛子 2本
塩 小さじ1
蓮根 100g
1. aを弱火で10分ほど火にかける。
2. 薄く輪切りにした蓮根を加え、さらに10分ほど煮込めば完成。
蓮根 300g
「蓮根と昆布だしのアヒージョ」で残ったオイル 100ml
タイムもしくはローズマリー(両方でもok) 10g
ハーブソルト 大さじ1
1. 縦半分に切った蓮根を外側が下になるようにフライパンに置き、アヒージョオイルをかけ、蓋をして弱火と中火の間くらいで15分ほど焼く。
2. ひっくり返して、ハーブを蓮根の上に乗せ、さらに10分ほど焼く。
3. 蓋を取り、強火にして両面に焦げ目をつける。
4. オイルの部分にハーブソルトを入れ、香りを出す。
5. 蓮根を皿に取り、オイルをかけ、ハーブをあしらえば完成。
a
おうちで余った野菜 500g程度(葉物の茎、野菜の皮、芋類、根菜類なんでもOK)
福神漬 50g
塩 小さじ2
クミン 小さじ2
カレー粉 大さじ2
オリーブオイル 100ml
b
大豆ミート 500g(水に浸けて戻すタイプは戻した時の量で)
蓮根ピュレ 100ml
昆布だし(白だしや鶏ガラスープにしてもOK) 100ml
味噌(お好きな味噌でOK) 50g
1. aを細かく刻んで塩、クミンを入れ、オリーブオイルで弱火でじっくり炒める。
2. 野菜が噛みきれる程度に柔らかくなってきたら、bを加え、中火で5分ほど煮込む。
3. カレー粉を加え、お好みの加減に水分を飛ばせば完成。
※余った野菜の葉を細かくちぎってのせると綺麗です。
蓮根 150g
a
コーヒー 150ml
黒糖 30g
ヴァニラエッセンス 少々
アイスクリーム スプーンで2すくいほど
グラノーラ 大さじ1〜2
1. 蓮根を一口大にカットする。
2. まず、蓮根とaを鍋に蓋をして弱火で45分煮込んだら、蓮根を取り出す。
3. 中火にして、液体が煮詰まり、とろっとしてきたら火を止める。
4. 蓮根の上にアイスクリーム、3のコーヒーシロップ、グラノーラをかければ完成。
※煮込んでいる時は鍋肌が焦げ付きやすいので木べらでこそげるとコクも出て美味しくなります。
◇ ◇ ◇
これにて、仕込みは終了。
そろそろ、開店といきましょう。
料理は食べてもらってこそ、真の完成です。
蓮根をつくってくださった方に、
それを育んだ自然に、
食べてくださるあなたに、
感謝を込めて。
いただきます。
大阪生まれ。5歳の頃からの趣味である料理と寄り道がそのまま仕事に。“美味しいに国境なし”を掲げ、日本中でそこにある食材のみを扱い、これからの伝統食を主題に海抜と緯度を合わせることで古今東西が交差する料理をつくる。現在は和紙を大きな皿に見立てたフードパフォーマンスを携え、新たな食事のあり方を提案中。
【フードパフォーマンス映像】
https://vimeo.com/275505848