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コラム

料理上手になれる!おいしくて健康的な「調味料」の選び方

早藤千紘

子育て奮闘中の管理栄養士

【元気になれる食事術 Vol.5】毎日の食事に欠かせない「調味料」。健康的な食生活をしたいけど、何から初めていいか迷ってしまう時は、上質な調味料を揃えるところからスタートするのがおすすめです。シンプルな料理でもとってもおいしく仕上がり、素材を生かした時短料理につながります。不調知らずの毎日を過ごすために、調味料の選び方をマスターしてみませんか?

「上質な調味料」で簡単においしく料理しよう!

健康的な食事が大切なのは分かっていても、何から初めていいのかわからない。そんな時はまず、上質な調味料に変えてみることをおすすめします。毎日の食事で味つけしない料理はほとんどなく、頻繁に使うものだからこそ、素材にこだわることはとても重要です。野菜やお肉などの生鮮食品とは違って日持ちもし、繰り返し使えるので経済的、かつ健康維持にはピッタリ。今は塩だけでコーナーが出来るほど、何種類もスーパーの棚に並んでいます。そこから自分なりの基準をもち、選択できる力を身につけていけると理想的ですね。

「上質な調味料」に変えると良いこと

上質な調味料は、余計なものが含まれず、昔ながらの製法できちんと作られたものを指します。これらを使うことによって得られる効果は以下の2つです。

素材の味を引き出し、少量で味が決まる

沢山の調味料を揃えなくてすむ

上質な調味料はそれだけでとてもおいしく、素材の味を上手に引き出してくれるので、少ない量で味が決まり、一回の使用量が減ります。また、塩、砂糖、醤油、酢、味噌など基本の調味料を揃えておけば、タレやめんつゆ、ドレッシングなどあまり頻繁に使わずに賞味期限が切れてしまうような調味料を簡単に作ることが出来るので、とても経済的です。上質な調味料は値段が高く感じますが、長期的に使えるものが多く、使用量が減ってくるのであまり食費への負担も大きくはないと考えられます。

原材料と工程がポイント「調味料の選び方」

ここでは、基本的な調味料である「塩」「醤油」「砂糖」「みりん」「味噌」の選ぶ基準としてのポイントをまとめていきます。

原料は好みで選び、「工程」を重視する

原料は「海塩」「岩塩」「湖塩」「天日塩」の4つがあり、それぞれ含まれるミネラルの種類や量が違うため、味が異なります。塩は賞味期限がないので(ハーブ塩など何か混ぜているものは賞味期限あり)、好みや料理に合わせて使い分けられるよう、数種類用意しておくと便利です。

大切なのはどのように作られているかの「工程」をチェックすること。表示でよく見かける「イオン膜(イオン交換膜)」は日本の食用塩(海水塩)の約80%を占め、成分的には塩化ナトリウムが99%以上でミネラルをほとんど含まず、塩辛い味が特徴です。「逆浸透膜」「溶解」「天日」などの工程は比較的ミネラルが残っているため、味に深みがあったり、旨味を感じやすくなります。健康面でみると後者の方がおすすめですが、海の汚染の影響を受けにくいという面では、前者の「イオン膜(イオン交換膜)」の方が優れています。

醤油

「大豆」「小麦」「塩」のみで作られたもの

醤油の原材料は大豆、小麦、塩の3つです。「脱脂加工大豆」を使った醤油もありますが、これは丸大豆から油を抜いた後の大豆であり、油がない分、スッキリとしたキレのある味に仕上がります。

どのように油を抜く加工をしているのかが分かりづらいので、その背景の見えるものを選ぶか、丸大豆を使用した醤油を選ぶと良いでしょう。また、「減塩醤油」は塩を減らして作るため、保存性が劣ります。そこで、保存料やアルコールを添加しているものが多く見られます。さらに、味が劣らないようにするため、調味料(アミノ酸等)を添加している場合もあります。

砂糖

きび糖や黒糖など「未精製」のものを

砂糖には、上白糖やグラニュー糖のような「精製」されたものと、きび糖や黒糖のような「未精製」のものがあります(きび糖はメーカーによって製造方法が異なるのでチェックが必要です)。未精製のものはミネラルが含まれているため、深みやコクを感じることができます。

栄養面でみると、「未精製」のものがおすすめですが、料理によっては色を付けたくない場合や、スッキリとした甘さが欲しい時などは「精製」された砂糖の方が合っています。また、原材料に「原料糖」と書かれている砂糖は、すでに砂糖になっているものを仕入れ、再度加工されたものになります。

原材料に「サトウキビ」と表示されたものは、加工されていないサトウキビを原料としています。健康面で注目される「甜菜糖」は、どのような原材料でも「てんさい(ビート)」と表記されるため、精製か未精製かの判断がつけられない場合があります。

みりん

「もち米」「米麹」「焼酎」のみで作られたもの

みりんの原料もシンプルで、もち米、米麹、焼酎の3つで作られたものがおすすめです。

このような本物のみりんの色は琥珀色をしており、そのまま飲むととてもおいしいです。焼酎の代わりにアルコールを使用しているものは、甘みを足すために糖類を加えていたり、色味も薄くなります。みりん風調味料などは酒税がかからず、味も全然ちがう別物と捉えると良いです。

味噌

「大豆」「麹」「塩」のみで作られたもの

「米味噌」は大豆、米麹、塩が原料であり、「麦味噌」は大豆、麦麹、塩が原料、「豆味噌」は大豆麹、塩で作られています。

品質を一定に保つためにアルコールや酒精を添加したり、加熱処理をして発酵をストップさせた状態で売られているものもあります。

発酵食品として味噌の力を摂取したい場合は、このような処理がされていないものを選ぶと良いです。「無添加」「生」「生詰め」「天然醸造」などの記載があるものは、発酵食品としての機能が保持されています

正しい知識で選択できる力を身につけよう!

いかがでしたでしょうか? 上質な調味料を選ぶことは、健康維持にも必要であり、素材の味を生かしてくれるので、シンプルな簡単料理で誰でもおいしく仕上げることができます。まずは商品のラベルをチェックすることから意識し、自分なりの基準を見つけてみてくださいね。

※ メイン写真はこちらの記事をイメージして選定させていただきました 画像提供:Adobe Stock

執筆:早藤千紘

管理栄養士、食学士、野菜ソムリエ。 大手企業の社員食堂栄養士、有名クッキングスクールの講師、食学士としてセミナー講師などを経験。現在は自身の子育てをメインに、管理栄養士の資格を活かして、食事と健康・美容の大切な繋がりや、子どもへの食育の大切さを多くの方に知っていただけるよう活動中。

執筆者情報

早藤千紘

管理栄養士、食学士、野菜ソムリエ。 大手企業の社員食堂栄養士、有名クッキングスクールの講師、食学士としてセミナー講師などを経験。現在は自身の子育てをメインに、管理栄養士の資格を活かして、食事と健康・美容の大切な繋がりや、子どもへの食育の大切さを多くの方に知っていただけるよう活動中。

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