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コラム

"きゅうり"はアメリカ人に欠かせない!?ハンバーガーのお供「ピクルス」は便利すぎる常備菜だった

【アメリカの最新ごはん事情vol.11】1989年に渡米し、「セレブ御用達プライベートシェフ」としてアメリカで料理を作り続けてきた明比玲子さんに、日本ではなかなか知ることができないアメリカの食事情を教えてもらいます。第11回目のテーマは「ピクルス」。マクドナルドのハンバーガーをはじめ、日本で食べるアメリカ料理には必ずと言っていいほどついてくるピクルス。アメリカ人にとってどれほど大事な食べ物かレシピと一緒に教えてもらいました。

ニューヨーカーにとってピクルスとは

ニューヨークに来たことのある人は、デリなどで樽やバケツに入って売られている大量のきゅうりのピクルスを見たことがあるのではないでしょうか? それぐらい、ニューヨーカーにとって、きゅうりのピクルスは生活に密着しているのかもしれません。

サンドイッチやハンバーガーなどには、必ずと言っていいほど一口では食べきれない大きめのピクルスがついてきます。油っぽい物を食べる時には、箸休めとして食べると口の中がさっぱりするし、発酵させているピクルスだと少量でも栄養価が優れています。

ピクルスは大切な保存食

何となく付属品のイメージが強いピクルスですが、昔は非常に貴重な保存食でした。特に、土地が痩せていて冬にはじゃがいもしか採れなくなる東ヨーロッパの人にとっては、とても大事な食べ物でした。ニューヨークでは、1659年頃からオランダ人農家によってきゅうりが栽培され、ピクルスも販売もされていたそうです。

アメリカではピクルス専門店もあり、さまざまなピクルスが販売されている

国や地域によって味の違いが楽しめる

日本ではそこまでたくさんの種類のピクルスを見かけないと思いますが、実は国によって少しずつ作り方や味つけが違います。ニューヨークでも、その国の人たちが固まって住んでいるエリアに行くと、違ったピクルスが楽しめます。

ピクルスの作り方は、自然発酵させて作るタイプと発酵させずに作るタイプの2種類に分けられます。そして、漬ける液や中に入れるスパイス類を分けていくと、10種類ぐらいに分けられます。

ニューヨークで一番人気なのは、ディルとガーリックが効いた「コーシャーディルピクルス」です。 今回は、このピクルスを少しアレンジして、スパイスも加えたレシピをご紹介します。食欲のない夏に、お酢でさっぱりしてすぐに食べられる常備菜を作っておくと役立ちます。簡単に作れますので、ぜひ試してみてください!

ニューヨークピクルスのレシピ

<材料> 1L瓶1本分

(a)
水……700 cc
塩……大さじ1

(b)
ホワイトビネガー……220cc
塩……大さじ1・1/4
砂糖(お好みで)……小さじ1/2
冷水……180cc         

(c)
きゅうり……約400g
にんにく……4片
ディル※……5本
※ない場合はディルシードでも可……大さじ1
コリアンダーシード……小さじ1・1/2
マスタードシード……小さじ 1/2
黒胡椒の粒……小さじ1
クラッシュドレッドぺパー……ひとつまみ   

<作り方>

1.きゅうりをよく洗い、 材料(a)に一晩つけておく

2.ピクルスを漬ける瓶を熱湯消毒しておく

3.材料(b)のビネガーを沸騰させて、塩と砂糖(お好みで)を溶かし、火から下ろして冷水を入れる

4.(2)に材料(c)を詰め込み、上から(3)を入れる
※きゅうりは、(1)から取り出してから水でゆすがないこと

5.ふたをして、粗熱が取れたら冷蔵庫に入れる

6.1日経ったら食べられる。1ヶ月以内に食べ切ること

使う材料について

「ホワイトビネガー」について

ホワイトビネガーは、とうもろこしが原料で酸度が5%あります。手に入るのであれば、ぜひお使いください。穀物酢、米酢は、酸度が4.2%ですが、ピクルスに使っても問題ないです。

「塩」について

今回のレシピでは、Kosher salt(コーシャーソルト)という、不純物の入っていない塩を使いますが、日本では自然塩を使えばいいと思います。コーシャーソルト自体は、サラサラの塩です。Kosher saltが手に入るなら、Daimond Crystalというブランドがオススメです。

「きゅうり」について

今回は、アメリカで旬のKirby(カービー)という種類の小さいのを使用していますが、大きいきゅうりを切って漬けることもありますし、形は自由です。ただし、花やヘタのついたものは、漬ける前に必ず取り除いてください。

明比玲子

兵庫県芦屋市生まれ。1989年に渡米し、ニューヨークのシェフ養成学校で学んだ後、本格的に料理に取り組む。著名レストランでパティシェとして経験を積み、アメリカ人と日本人に料理とお菓子の指導も行う。日本の料理雑誌への寄稿やフードスタイリングも行いつつ、2008年からは、コンサルティングの仕事なども兼ねながら、ニューヨークセレブのプライベートシェフとして、活躍中。
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