cookpad news
コラム

アメリカでもクラフト紅茶店が急増中! 国民溺愛の紅茶「アーノルドパーマー」って一体ナニ?

毎日暑い日が続くと冷たいドリンクがほしくなりますよね。みなさんはアイスコーヒー派?それともアイスティー派?

スターバックスやブルーボトルコーヒーなど、コーヒーのイメージが強いアメリカですが、近年はクラフト紅茶のお店が増えているそう。 アメリカでフローリストとして活躍し、大の紅茶好きを公言しているアンナさんにアメリカのお茶事情を聞いてみました!

ーアメリカはどちらかというとコーヒーを飲む文化が浸透しているイメージですが、紅茶などのお茶についてはどうでしょうか?ー

やはりアメリカのコーヒー文化は根強く、中でも近年は「コールドブリューアイスコーヒー」を扱っていないお店は無いほどの人気ぶりです。いわゆる水出しアイスコーヒーのことですが、フルーツやココナッツウォーターを混ぜてアレンジするのが流行っています。

ブルックリンにアトリエを構えるBELLOCQ(べロック)。オーガニックの茶葉を使い、オリジナルフレーバーを開発している

一方で、紅茶を中心とする「お茶」文化もすさまじい成長をしています。茶葉の素材や製作過程にこだわった、オーガニックやこだわりのクラフト紅茶を販売するお店が急増中です。 一昔前は紅茶と言えばヨーロッパのイメージが強かったと思いますが、アメリカにもそれらに負けないぐらいの実力派のティーブランドが増えているので、ぜひみなさんにも知っていただければと思います。

実はアメリカが発祥の意外なアノ飲み物

ーアメリカでもクラフト紅茶が増えているとは意外です!何かアメリカらしい紅茶の飲み方はありますか?ー

紅茶好きの私がおすすめする一番の飲み物、アメリカに来たなら必ず飲んでいただきたいものが「アイスティー」です。アイスティーなら日本でも飲めるじゃないかと思われるかもしれませんが、アメリカ独自に発展した「変わり種のアイスティー」が数多くあります。

実は アイスティーはアメリカ発祥のドリンクで、古くは1904年ミズリー州の万国博覧会にてアイスティーが提供されました。 猛暑のため熱い紅茶は人気がなく、試しに氷を入れて冷やしてみたところ飛ぶように人気が出たことがはじまりだと言われています。

アイスティーと一口に言っても、ベースとなる茶葉も紅茶だけではなく、烏龍茶、緑茶など多岐に渡ります。掛け合わせる材料もフルーツやはちみつ、花のフレーバーやスパイスなどがあり、アレンジの種類は無数にあります。

中には「ラベンダーピーチティー」のように複数種類の掛け合わせた、日本ではあまり見かけない変わり種のアレンジも充実しています。

上段左からジンジャーグリーンティー、マンゴーティー、ピーチティー、ラズベリーティー、下段にはトゥルシーティーというバジルを用いたハーブティーやルイボスティーが並ぶ。

市販のアイスティーは瓶やペットボトルなどに入れられてドラックストア、スーパー、雑貨屋さん、レジャー施設などで販売されています。街中には必ずと言って良いほどジューススタンドがあるのですが、そこでもアイスティーの取り扱いがあるのはアメリカならではの光景かもしれません。

友人宅でのバースデーパーティーにて。手前はきゅうり水、中央がアイスレモンティー、右奥はサングリア

また親族や友人が集まるようなホームパーティー、結婚式などでも大きなドリンクディスペンサーにアイスティーが準備されていることが多いのです。ちょっとしたおもてなしの際には簡単にできるアイスティーのアレンジをお出しするのも良いですよね。

国民的アイスティー「アーノルドパーマー」とは?

ーぜひアンナさんおすすめのアイスティーアレンジを教えてくださいー

HALF HALF(ハーフ ハーフ)と書かれた瓶が「アーノルドパーマー」のこと。レモネード50%、アイスティー50%という意味。

アメリカの「国民的なアイスティー!」と言えば、「アーノルドパーマー」と言う種類があります。 作り方は簡単で、レモネードとアイスティーを半分ずつミックスするだけ。甘酸っぱいレモネードに紅茶の渋みが合わさり、飲み口が爽やかなドリンクです。

アーノルドパーマーは大抵の飲食店で提供されています。仮にメニューになかったとしても、レモネードもアイスティーも必ずアメリカの飲食店にあるものなので、お店によってはお願いすれば即興で作ってもらえると思いますよ。

アンナさん作のピーチアイスティー

ご家庭で簡単に作るなら、桃を丸ごと使って作る水出しのピーチアイスティーはいかがでしょうか? アメリカの桃は甘みが少なく実が硬いので、丸ごと漬け込みますが、日本の桃は大きくて甘みが十分あるので、少量の桃でも自然の甘みを感じる事ができます。

ーどちらも家で手軽に作れそうですね!ほかにも意外な素材の組み合わせはありますか?ー

紅茶をベースに様々な素材をミックスしたアレンジは外せません。特におすすめは「変わり種アールグレイアイスティー」。アールグレイ茶葉にお花やフルーツを加えるものも欧米ならでは。他には「ザクロ&ローズ」のような複数の種類を掛け合わせたアレンジもあり、味の探究が楽しめます。それぞれの素材の自然な味わいと香りが楽しめるだけでなく、互いを引き立て合う面白さがあります。アジアの茶葉で作るアレンジもとても人気で「ピーチ×烏龍茶」「パッションフルーツ×白茶」「ハニー×緑茶」などがあります。

Arizona Teaはアメリカで最も有名な大衆向け紅茶ブランド

日本では考えられないユニークな種類でいくと、Arizona Tea( アリゾナティー)という定番品があります。こちらは古くから続く大衆向け紅茶ブランドで、ミントカラーにピンクの桜が咲いているパッケージが目印。

アメリカのお茶は甘ったるいというイメージがあるかもしれませんが、その代表格がまさにこの商品。緑茶の味が全くしない緑茶にシロップが混ぜられた味わいで、私も飲めません。 このように、お菓子のような人工的な甘ったるいものも存在はします!ただ、現在ではこういったお茶は滅多にありません。素材にこだわって、茶葉そのものを味わえる種類が多く存在しています。

オーガニックスーパーに行くと数えきれないほどのクラフト紅茶が並んでいる

アメリカならではのアイスティーのアレンジは際限がなく、ここに書き切れないほどの種類を体験してきました。 アメリカに旅行する機会があれば、ぜひ変わり種のアイスティーを試してみてください。オーガニックスーパーでは特に多くの種類に出会う事ができると思います。

ーアンナさん、お話を聞かせてくださり、ありがとうございました!ー

Kitano Annaさん

フローリスト。東京、ロンドン、ニューヨーク、ヒューストンで活躍。幼少期よりアメリカを中心として様々な国の世界観に触れながら感性を養った経験から、花単体ではなくテーブルコーディネートと紅茶を加え、空間全体を楽しむことを大切にしている。 国内外の紅茶専門店に足を運び茶葉の製造方法やフレーバーの付け方などを直に教わるほど大の紅茶好き。

※Arizona Teaの画像提供:Adobe Stock

編集部おすすめ
クックパッドの本