【八百屋さんの旬ごはん Vol.4】無人青果店・コミュニティースペース・居酒屋がひとつになった「イエローページセタガヤwithプラスヤオヤ」を運営する尾辻あやのさんが、今おいしい旬の野菜と、おすすめの食べ方をご紹介します。
こんにちは。プラスヤオヤの尾辻です。
梅雨の時期になると、お洗濯もできないし、出かけるにも少し憂鬱ですが、これも野菜たちにとっては恵みの雨。「夏においしい野菜がやってくる!」そう思うと雨の日も少し楽しみになるようになりました。(長雨にならないことを祈るばかりですが…!)
さて今月テーマはにんじんです。私たちにとって、最も身近なお野菜のひとつ。でもなすやきゅうりと違い、プランターで作ることができないためか、家庭菜園でもあまり選ばれない野菜です。いったいどのように育っていくのでしょうか。
今回は静岡県富士宮市の農園、やさし菜農園Tanizakiさんににんじんについていろいろと教えていただきました。こちらの農園の一押しは「ふじジャンボらっかせい」。富士宮では落花生は塩茹でで食べるのがおなじみだそうです。旬も短く、大人気なためすぐ売り切れてしまうとか。
畑の向こうに富士山がそびえるこの場所で、谷崎さんご夫妻が、農薬や化学肥料を使わずに、様々なお野菜を育てていらっしゃいます。
にんじんを育てる際の一番のポイント、それは「いかに発芽させるか」だそうです。発芽してしまえば、収穫まで割と手がかからないんですが、適切な環境でないと発芽してくれないため、環境整備が最も手間がかかり、「にんじんは発芽したら半分成功」と言われている程なんです。そして、そこが一番の農家の腕の見せどころなのだそう。
発芽した後は、雑草を取ったり、間引きをしっかりおこなうなどして、しっかり大きく育てていきます。道の駅やファーマーズマーケットでたまに出合う間引きにんじん。小さくて可愛いですよね。カタチそのままソテーにしたり、スープに入れたりと、こちらもおいしく召し上がっていただけます。
最近見かけることも多くなったカラフルなにんじん。色鮮やかで綺麗だけど、味は同じなの? 調理方法は一緒でいいの? と思うと、ちょっと手を出しづらくなってしまいますよね。実はにんじんは西洋の品種もあわせるとなんと30種類以上もあるんです!! 今回は色別に特徴を少しだけご紹介します。
紫色はポリフェノールの一種であるアントシアニンです。コリコリとした食感で生色やソテーがおすすめ。スープなどに入れると、アントシアニンで魔女が作る様なスープになるのでご注意ください!
薄い黄色がかわいい、こちらのにんじん。βカロテンが多く含まれています。食感は柔らかく、にんじん臭さが少ないです。
こちらはにんじんの香りがさらに少なめ。皮もやわらかいので、そのまま召し上がっていただけます。
色が薄くなればなるほど、やわらかく、にんじんの匂いも減っていくようです。苦手な方は薄い色から試してみるのが、いいかもしれませんね。
根菜だから、常温保存でいいと思われがちですが、にんじんの保管に適した温度は0〜5℃。真冬でない限りは冷蔵庫に入れる方がより長持ちします。常温でも高温多湿をさければ、1週間は保存が可能です。なるべくおいしいうちに食べきりたいものですが、保管する場合はひとつひとつ新聞紙にくるみ、できれば縦向きに保管が一番です。
またもし葉っぱ付きの場合は、栄養が吸い取られてしまうので葉っぱはすぐにカットするのがオススメですよ。
今日はお弁当のおかずにも、お酒のアテにも大活躍な「白だし明太子にんじんしりしり」をご紹介。多めに買って余ってしまったとき、お土産にもらった明太子が消費しきれない時などに便利な一品です。白だしを使っているので、味付けも簡単ですよ。
にんじん…1本
明太子…50g
白だし…大さじ1
油…適量
みりん…小さじ2
1. 皮をむいたにんじんを千切りにする
2. フライパンに油を熱し、1を入れ、しんなりするまで炒める
3. 皮を除いた明太子をいれてよく混ぜ合わせる
4. 白だし、みりんを入れて水分を飛ばすように混ぜ合わせる
いかがでしたでしょうか。お料理に欠かせないにんじん、ぜひいろんな味や形を試してみてくださいね。
プラスヤオヤは、農業繁盛・地域円満をモットーに、農家さんと食べる人をちゃんとつなげる新しい八百屋を展開するプロジェクトです。2020年9月より、プロジェクトの第一歩として、私、尾辻あやのと、料理人の夫と世田谷にて始めたお店「イエローページセタガヤ」にて昼間は有機野菜の八百屋とコミュニティスペース、夜は居酒屋を運営しています。