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コラム

植物性&動物性のダブルたんぱく質が一度に摂れる!鳥取県で愛されている「とうふちくわ」って何だ!?

【工藤詩織の「お豆腐」を求めてぐるり旅 Vol.4】お豆腐の魅力に取り憑かれていると言っても過言ではない、無類の豆腐好きである工藤詩織さん。あちこち旅をして出会った、日本各地の個性豊かな「お豆腐」たちを紹介していただきます。読めば、あなたもまるで現地を訪れたような旅行気分が味わえますよ! 第4回目は、植物性と動物性の「ダブルたんぱく質」が摂れる食材として注目を集めている、鳥取県生まれの「とうふちくわ」をご紹介します。

鳥取発「とうふちくわ」とは

全国のご当地豆腐の中でも「もっと世の中に広まって欲しい!」と切望しているのが、鳥取県の「とうふちくわ」です。鳥取県の東部で生まれ、現代まで愛され続け、B-1グランプリにも出品されている練り物です。その発祥はなんと江戸時代。港の開発が遅れていた鳥取では魚が贅沢品だったことから節約が奨励され、魚のすり身に木綿豆腐をたっぷり練りこんだちくわが誕生したのです。

日常的に食されるだけでなく、冠婚葬祭など「ハレの日」にも食されるようになり、現在も鳥取市内のメーカー各社で製造されています。ツヤのある乳白色でやや太め、ふっくらむっちりとした食感のちくわを噛み締めると、優しい大豆の甘みと魚の旨味を感じます。臭みやクセはなく、老若男女に愛されているのも納得です。立ち寄った地元スーパーのちくわをはじめとする練り物売り場は両手を広げるほど広く、その消費量の多さを物語っていました。

伝統の「とうふちくわ」づくり

ただの豆腐でもなく、ちくわとも一線を画したとうふちくわ。その製法を知るために、老舗メーカーの「ちむら」さんと「前田商店」さんを訪ねました。主な原材料は木綿豆腐と白身魚。どちらのメーカーさんも豆腐から自家製です。豆腐とすり身を練り合わせた生地を棒に巻きつけて成形します。

とうふちくわが作られる様子@前田商店

江戸時代創業のちむらさんでは、「豆腐7:魚3」という素材の味を生かす伝統の比率を守り続けています。ちくわといえば「焼きちくわ」が一般的ですが、とうふちくわはいわゆる「蒸しちくわ」が定番で、白くふんわりと仕上げるのが特徴です。もちろん、焼きタイプのとうふちくわも地元では根強い人気で、他にもネギや生姜などの具材入りや味付けされたものなど種類も豊富にあります。

豆腐から自家製@ちむら

前田商店さんでは軽く炙ることで表面にツヤを出してから約40分かけて蒸し上げているそうです。手間を惜しむことなく食味はもちろん肌ツヤの良さにまでこだわった、とうふちくわの奥深さに魅了されました。

豆腐と白身魚のすり身を練り合わせて作る@前田商店

そのままでもおいしい、アレンジもたのしい

おやつやおつまみに最適なとうふちくわの定番の食べ方は、そのままかじる、または、切って生姜醤油をつけて食べる、だそうです。さらに、全国にとうふちくわをPRする「鳥取とうふちくわ総研」さんでは、100品近くのアレンジ料理を提案しています。私が現地のお寿司屋さんで作ってもらい感動したのが、とうふちくわの揚げシュウマイ風。一口大に切ったちくわの穴にカニ風味かまぼこを詰め、全体を餃子の皮で包んで素揚げしたつまみメニューです。

とうふちくわの揚げシュウマイ風に感動!

他にも、バター炒めや麻婆とうふちくわなど、アイディア次第で立派なおかずが出来上がります。 近年では、植物性と動物性の「ダブルたんぱく質」が摂れる食材としてもますます注目されているようです。私はこのとうふちくわが、コンビニに並ぶサラダチキンのような感覚で、全国のスーパーやコンビニで並ぶ日を夢見ています。ぜひ、気になった方は鳥取県のアンテナショップやお取り寄せで入手できますので一度味わってみてください。

参考サイト:鳥取とうふちくわ総研

※ メイン写真は記事をイメージして選定させていただきました
画像提供:Adobe Stock

まいにち豆腐レシピ』(池田書店

健康的で経済的、豆腐の魅力はそれだけではない! 年間1000食以上豆腐を食す著者が、豆腐の製法・歴史・文化などさまざまな側面から豆腐の魅力を伝えるとともに、料理家牛尾理恵による、田楽、ゆし豆腐、鹹豆漿(シェントウジャン)、豆腐のガパオ風炒め、麻婆豆腐、ほか102レシピ掲載。豆腐について知りたかったことがすべて知れて、おいしく食べるためのレシピも盛りだくさんな一冊です。

レシピ担当:牛尾理恵(ウシオリエ)

料理家、栄養士。東京農業大学短期大学部卒業後、病院の食事指導、料理制作会社勤務を経て独立。手軽なヘルシーレシピを得意とし、自身も食事管理と筋力トレーニングで日々健康的なからだづくりに臨んでいる。著書多数

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工藤詩織(往来/豆腐マイスター)

幼少から豆中心の食生活を送り、豆腐がいつも暮らしの中心にある無類の豆腐好き。日本語教師を目指して勉強する過程で、食文化も一緒に伝えたいと「豆腐マイスター」を取得。国内にとどまらず海外でも、手作り豆腐ワークショップや食育イベントを実施して経験を積む。2018年より「往来(おうらい)」をテーマに本格的に活動を開始。豆腐関連のイベント企画・メディア出演などを通して、各地で豆腐文化の啓蒙活動を行っている。「マツコの知らない世界」(TBS系)、「ヒルナンデス」(日本テレビ系)、「ごごナマ」(NHK)等へ出演。

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