【今週のおすすめの一冊 vol.38】編集部が特に「おもしろい!」と注目した料理にまつわる本をピックアップし、気になる中身をダイジェストでお届け。今回は『体にいい煮込みおかず』(ワン・パブリッシング)についてご紹介します!
新年度がスタートした4月から早くも1ヶ月が経ちました。自分では気づいていないけれど、気が張ってストレスが溜まっていたなんてことも…。特に大型連休が終わった今は、新生活の疲れが身体や心に現れて、「五月病」になりやすい時期と言われています。
だるく疲れやすい、気持ちが落ち込むなど身体や心の不調が現れる時こそ、「薬膳」の力を取り入れるべきと提唱するのが、料理家の齋藤菜々子さん。体の不調を治すことも大事だけれど、まずは不調にならないことが何より大事。だから毎日食べる食事に薬膳の考え方を取り入れて、小さな不調から防ぐことが大切なんだとか。
薬膳というと、生薬のイメージからハードルが高いように感じますが、本来は季節や体調に合う食材選びがなされた食事のことを指すそう。手に入りやすい旬食材や、普段使いの調味料で作ることができるんです。
今回は、本書より食卓に登場する頻度の高い、鶏もも肉を使った煮込みレシピをご紹介します。 どちらもフライパン一つで煮込み時間15分以内で仕上がるので、時間のない平日でも手間なく作れますよ!
副菜で使う機会の多いほうれん草ですが、相性のいいおかかや鶏肉を加えてボリュームアップ。ほうれん草は血を作るとされ、貧血の方におすすめです。
鶏もも肉……1枚(300g)
塩、こしょう……各適量
ほうれん草……1束
かつお節……5g
A
水……150ml
酒、しょうゆ、みりん……各大さじ1
サラダ油……小さじ1
1. 鍋に湯を沸かし、ほうれん草をしんなりするまでゆでる。冷水にとってざるにあげ、水けをよく絞る。
2. 1のほうれん草は根元を落とし、5cm長さに切る。鶏肉は余分な脂身を切り落とし、ひと口大に切り、塩、こしょうをふる。
3. フライパンにサラダ油を中火で熱し、鶏肉を皮面から入れる。焼き色がついたら裏返し、A、ほうれん草、かつお節を加える。煮立ったらふたをして弱めの中火で4分煮る。
きのこの旨味とほのかな酸味が食欲をそそる一品。「黒い食材」であるしいたけはアンチエイジングにおすすめです。
鶏もも肉……1枚(300g)
塩……適量
えのきたけ……1袋
しいたけ……4枚
まいたけ……1株(100g)
赤とうがらしの小口切り……1本分
A
水……50ml
しょうゆ……大さじ1と1/2
酢、酒、みりん……各大さじ1
ごま油……大さじ1/2
1. えのきたけは根元を切り落とし、長さを半分に切る。しいたけは軸を落とし、縦4つ割りにする。まいたけは食べやすい大きさにほぐす。鶏肉は余分な脂身を切り落とし、ひと口大に切って塩をふる。
2. フライパンにごま油を熱し、鶏肉を皮面から入れて中火で焼く。焼き色がついたら裏返し、えのき、しいたけ、まいたけ、赤とうがらしを広げてのせ、Aを回し入れる。
3. 煮立ったら、ふたをして弱めの中火で7分煮る。ふたを取り、さらに中火で2〜3分煮詰める。
本書では、紹介したレシピのような煮込み時間15分以内で完成する「平日ささっと煮込み」と、塊肉などのこだわりの食材を使ってじっくり煮込む「休日ことこと煮込み」の二部構成でレシピが紹介されています。
また、薬膳の効能別にレシピがインデックス化されているので、自分の身体と心を鑑みながら、レシピを探せるのも嬉しいポイント!
煮るという究極にシンプルな調理工程だからこそ、飽きないために重要なのが「食材の組み合わせ」と「味付け」。本書は豚こまとトマト、厚揚げときゅうりなどの意外な食材同士の掛け合わせや、ナンプラーバター煮、大葉味噌煮など、実践したことのない味付けがたくさん紹介されています。
眺めているだけで自分のレパートリーが広がる可能性を感じ、創作意欲が高まる一冊になっていますよ。本書を参考に日々の食事に薬膳を取り入れて、暑さが本格化する夏に備えてみてはいかがでしょうか。
(TEXT:小菅祥江/撮影:よねくらりょう/スタイリング:宮嵜夕霞)