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コラム

回鍋肉は「炒めない」が正解!シェフ直伝、水っぽくならない肉・野菜の炒め方

料理がもっとうまくなりたい!を叶える、プロの料理人による料理のパーソナルコーチングサービスMOMENT。 第4回はイタリアンレストランsel sal sale のスーシェフ櫻井夢己さんが、中華料理の定番「回鍋肉」の作り方を生徒のさやこさんに伝授します。レッスンの様子を覗いてみましょう!

味も香りもガツンときてごはんが進む、回鍋肉をつくりたい!

櫻井コーチ

中華の定番おかず「回鍋肉」は、僕も好きでよく作ります。さやこさんは作る機会ありますか?

さやこさん

肉も野菜もとれるから、メインおかずに重宝しています。でも味付けが難しくて市販の中華料理の素を使うことも。あと、キャベツの水分が出るのか、ベチャッとなってしまうんですよね。お店みたいな、香ばしくて味のしっかりした回鍋肉を作りたいです。

櫻井コーチ

回鍋肉の基本の味付けは甜麺醤と豆板醤の2つ。
あとは酒やみりん、塩程度なので特別なものはありません。あの独特の風味は、ねぎやにんにく、しょうがなど香味野菜が調味料の一端を担っているから。回鍋肉は具がこんがりとしてツヤツヤ、調味料が全体に行き渡っている状態が完成形。
今回は“具を焼き付けて香ばしさを引き出し、香味を浸透させた合わせ調味料を絡める方法”を一緒に学びましょう。

肉をしっかり焼き付け、余分な脂をとる

櫻井コーチ

回鍋肉はその名の通り、1つの鍋で塊肉をゆで、薄切りにて同じ鍋で炒めていく「鍋を使い回す」というのが本来の調理法。今回は手軽に薄切り肉を使って、1つのフライパンで最後まで作ります。もちろんテフロン加工のものでOK。早速焼いていきましょう。

さやこさん

野菜は切らなくていいんですか? 中華というと材料や調味料を加熱調理前にすべて準備して、パパッと仕上げるイメージです。

櫻井コーチ

準備しておいてもいいですが、調理中に時間ができるので大丈夫。まず、豚バラ薄切り肉を7cm幅くらいに切って熱したフライパンで焼き付けていきます。

この時のフライパンの表面温度が大切で、煙が出るまでしっかり温めます。
そうしたら弱火にして1枚ずつ肉を並べていく。脂の多い部位なので油はひかなくてOK。すぐにバチバチ焼ける音がしてきます。この音が小さくなったら温度が低くなっているサインなので火を強めて、常に高音を保ちましょう。軽く塩を振り、肉は動かさない! ここが肝心です。その間に、香味野菜を刻みます。

さやこさん

えっ! そのまま待つの? 随分と肉の脂が出てきたし、焦げないか心配・・。

櫻井コーチ

出てきた余分な脂は耐熱バットなどに出して後で活用します(ただしこれはよい肉のとき。肉臭さが気になるものは使わないように)。「これは焦げている?」と感じるくらいまで焼き付けて、香ばしい焼き色がついたらようやく返します。真っ黒に炭化しているもの以外は、おいしい焦げ色と考えましょう。

さやこさん

肉は色が変わればOKくらいに思っていました。この段階で見た目からして違います! ここで野菜を加えないんでしょうか?

櫻井コーチ

はい、まずは香味野菜を刻んでいきます。今回は香りをいかしたいので、ねぎは大きすぎず小さすぎずの1cm角くらい、にんにくとしょうがはみじん切りにします。
肉の両面に焼き色がしっかりつくまで焼いたら、肉だけをボウルに取り置き、脂は別にします。ここで野菜を加えるとフライパンの温度が一気に下がって野菜の水分が出てベチャッとしてしまうのでNG。これがさやこさんの失敗の原因ですね。

さやこさん

フライパンの温度って、とても大切なんですね。

香味野菜と醬の風味を油にしっかり移し、香ばしい合わせ調味料を作る

櫻井コーチ

フライパンは洗わず(温度が下がるので)、そのまま次の工程へ。油を少し入れてフライパンを斜めにし、油が溜まっているところににんにくとしょうがを入れます。
パチパチシュワシュワをキープする火加減で焦げないようにしながら香りを出します。次にねぎを加えて火を強め、香りを油に移す。

この時も揚げ物をしているくらいのパチパチシュワシュワをキープ。香ばしくなったら火を止めて、甜麺醤(多めがおすすめ)と豆板醤を加えて軽く炒め合わせます。これら醬が入っても油が表面に浮くくらいまで油を足し、香りが立ってきたらみりんと酒を少々加えてしばらく煮詰める。およそ5分程度。この間に野菜を切りましょう。

さやこさん

こんなに時間をかけているとは驚き! フライパンの中で合わせ調味料を作っていくんですね。たしかに、工程を重ねるごとに香ばしさが増し増しになっていきます。回鍋肉は手早く炒め合わせるというより、時間をかけて香ばしさを引き出す料理なんですね。

櫻井コーチ

そう。急ぐ必要は全くなくて、逆に待つ時間も重要なんです。ここで野菜の下ごしらえをします。ピーマンは食感を楽しめるように大きめに、キャベツは芯は薄切り、葉は5cm角程度に切りましょう。
フライパンの中の調味料がしっかりなじんだら味を見て、必要に応じて水や塩を加えて調整し、水溶きコーンスターチ(片栗粉でも)でとろみをつけ、別の容器に取り出します。

さやこさん

ここで野菜を加えるわけじゃないんだ。フライパン1つをフル活用ですね!

野菜も焼き付けて、最後にすべてを合わせる

櫻井コーチ

ここで野菜を入れるとベチャッとしますから、野菜は野菜で焼き付けます。
フライパンは洗わず油を少し足してよく温め、まずキャベツを入れます。ここでも混ぜません。香ばしくなるまで待つのみ!

さやこさん

うー! 混ぜたくなっちゃう。我慢、我慢ですね。回鍋肉は待つ料理ですね。

櫻井コーチ

そうですね。炒めるは「混ぜる」と混同しがちですが、回鍋肉は「焼き付ける」と考えたほうがいいでしょう。
キャベツにも焦げ色がついたらひっくり返し(層になっている中のキャベツは蒸れて甘くなっている)、同様に焼き付けたらフライパンの真ん中をあけてピーマンを入れ、塩を振り、パチパチと焼き付けます。

香りが立ったら肉と調味料を戻し入れ、ここでようやく炒め合わせ、絡まったら完成です。

さやこさん

焼き付けているから水分が出てなくてツヤツヤ! 肉も野菜も香ばしくって丼にしたくなるガツンとしたおいしさです。焼き付ける中華、覚えました。ありがとうございました!!

教えてくれたコーチ:櫻井夢己(sel sal sale スーシェフ)

本場イタリアの各地域を1年間渡り歩き、さまざまなレストランでの厨房経験を通して現地のイタリア料理の基礎を習得。
帰国後は恵比寿にあるイタリアンレストラン「sel sal sale(セルサルサーレ)」のスーシェフを務めながら、イタリアで得た知識と料理の科学的知識を派生させて自分なりの料理スタイルを確立させている。香ばしさや力強さを意識した火入れと塩の扱いが得意。
「何か味や香りが物足りないな」といった時に良いアドバイスをしてくれる。家庭の味を超えたい、さらに上をいくレストランの味に持っていきたい方におすすめ。

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