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コラム

伝えたい、母の味。素朴な甘さの【きほんのつぶあん】

手づくりの素朴な甘さを

あんころもちや、おはぎのために、母がつぶあんを炊いてくれた日々を思い出します。あの手づくりの素朴な甘さが忘れられません。「あんこは一度炊くと、何度も炊きたくなる。うまく出来るとうれしいから」。母はこう言いました。

祖母から母へ伝えられた、つぶあんの炊き方があります。さて上手に炊けるのだろうか。

<材料(作りやすい分量)>

小豆・・・300グラム
砂糖・・・300グラム
はちみつ・・・少々

お好みですが、隠し味にハチミツを少々加えると味に深みが出るでしょう。料理時間は二時間くらいが目安です。

<作り方>

1.小豆をザルにいれて、しっかり水洗いをします。
2.鍋に小豆を入れて、豆の3倍の水を加えて強火にかけます。水が沸いてから、5分ほど煮たら火からおろします。これを「渋切り」といいます。
3.火からおろした鍋に、少しずつ水を流し入れ、ぬるま湯になったら、ひとかきまぜして、小豆をザルに上げます。
4.小豆を、もう一度鍋に戻し、豆の3倍の水を加えて強火にかけます。煮立ったら弱火にし、アクと泡をていねいに取り除きます。
5.煮詰めることでゆで汁が減っていきます。その都度、差し水をして豆が焦げつかないように気をつけましょう。一時間から一時間半ほど、じっくりと弱火で煮ます。
6.ゆで汁がひたひたになり、豆が指でかんたんにつぶれるまで、しっかりと柔らかく煮ておくことがポイントです。砂糖で味つけしてからは、どんなに煮ても小豆は柔らかくはなりませんので気をつけましょう。
7.小豆が煮えたら、砂糖150グラムを入れます。焦がさないように、木ベラでかき混ぜて、弱火でさらに煮ます。
8.煮汁がほんのわずかになったら、残りの砂糖150グラムと、ハチミツを加え、中火で煮ながら、ここで一気にしっかりと混ぜ合わせます。
9.水分が減り、ツヤが出てきたら出来上がりです。砂糖を加えてからは、あまりぐつぐつと煮過ぎないように注意しましょう。
10.まな板などの上に、小分けに置いて、粗熱を取ります。完全に冷めたら、乾燥しないようにラップをかけておきましょう。

自家製のあんは、保存が効きませんので、その日のうちに、あんころもちやおはぎにしていただきましょう。

あんこのこしらえ方は、かんたんなようでむつかしいと、よくわかります。一回目はうまくいかないのですが、二度、三度こしらえるとコツをつかんで、自分らしくうまくいきました。あんこを一度こしらえると、外で出会うあんこの味わい方も変わります。ああ、こんなふうに炊いたんだなとわかるからです。 

自分で炊いたつぶあんはやっぱりおいしいです。この経験を育てていきたいと思います。

文:松浦弥太郎 写真:片山育美

くらしのきほん

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