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コラム

パサつきがちな「鶏むね肉」は、“家の調味料”と“切り方”で劇的に変わる!料理家・エダジュンさんに聞きました

インスタグラムのフォロワー数4.4万人、「パクチーボーイ」として人気を集めるエダジュンさん。パクチーをおいしく食べるレシピならエダジュンさんのレシピ!ですが、今回はパクチーではなく、7月に発売になったレシピ本、『鶏むねダイエット最強たんぱく質レシピ150』についてのお話をたっぷりお聞きします。エダジュンさんの手にかかれば、パサつきがちな鶏むね肉がジューシーでおいしく仕上がります!

高たんぱく・低脂質・低カロリー食材「鶏むね肉」

――今回の新刊、『鶏むねダイエット最強たんぱく質レシピ150』。食材を鶏むね肉1品に絞った理由を教えてください。

鶏むね肉は、普段から好きでよく食べています。30代後半になってからは、唐揚げもむね肉を使うことが増えました。さっぱり食べられるし、とにかく安いというのもうれしいポイントですよね。たんぱく質も多く、脂質、カロリーが抑えられて良いことづくめ。ただ、唯一のデメリットがパサつきやすいという点です。そこだけうまく調理できれば、メリットしかないんですよ。鶏むね肉にすごく可能性を感じていたんです。それで、「鶏むね肉のレシピ本はどうでしょうか」という提案をして、鶏むね肉を使ったダイエット本を発売させていただくことになりました。

――でも、鶏むね肉で150品のレシピを作るのは大変ではなかったですか?

最初は100品の予定だったんです。でも、150品くらいあったほうが読者の方に喜んでもらえるんじゃないかなと思い頑張りました(笑)。レシピを考える上で心がけたのは、「簡単」「家にある調味料で作れる」ということ。鶏むね肉を使った本はすでに世の中にたくさん出ているので、この本ならではの価値を作らないといけない。なので、この本は鶏むね肉レシピ×ダイエットの付加価値をつけ、全て300カロリー以下、糖質10g以下、たんぱく質量はほぼ全て30g以上なので、ダイエット中の方におすすめできるものばかりです。

ジューシーに仕上げる調味料「し・さ・か」

――鶏むね肉のパサつきがち問題。どのようにしたら解決できるんでしょうか。

僕がたどり着いたのが「し(塩)・さ(砂糖or酒)・か(片栗粉)」です。この3つの調味料を揉みこむと鶏むね肉がパサつきにくくなるんです。全てのレシピにこの3つが必要なわけではありません。蒸し料理などは酒を使うけど、臭みが残らない焼き料理のときは使わない。そこは、調理法によって変わります。

――「し・さ・か」以外に、鶏むね肉を料理する上でポイントになることはありますか?

鶏むね肉は、水分が外に出るとどうしてもパサつくという現象が起こる食材です。つまり、火や熱を通す時間を最低限にすることがパサつきを防ぐポイントになります。例えば、焼くレシピでは、約2分半から3分以内で焼き上げます。フライパン調理だと1分半焼いてひっくり返して1分なので約2分半。面積を広くすることで火が早く通るので、そぎ切りにするといいです。そぎ切りだと、繊維も断ち切れるので食感も柔らかくなります。全体的にフォークで穴を開けるのもおすすめですね。

――中には、大きめに使いたい場合もあると思うのですが、その場合はどうすればいいですか?

大きめに使いたい場合は、塩麹、味噌などの発酵調味料に漬けてからの調理を提案しています。一晩、下味漬けとしてしっかり漬けておけば、パサつきがなくやわらかくてジューシーに仕上がります。大きめに使うのに下味漬けをしていないと、どうしてもパサつきが出てしまいます。

レンジで作れるレシピもたくさん!

――レシピ本には150品ものレシピが載っていますが、その中で「今日は疲れたなぁ。手間をかけたくないなぁ」というときにおすすめのレシピはなんですか?

そんなときは、サラダチキンバリエーションの中の「コチュジャンチキン」がおすすめです。コチュジャンと味噌を使うことで鶏むね肉がさらにしっとり仕上がるんです。ポッサムのように、レタスに巻いて食べると満足感もあるし、ダイエット中にはぴったり。僕もよく作っています。

――今回の本のお題にもあった「簡単」という点から特におすすめのレシピはなんですか?

レンチンで作れるものは全ておすすめです(笑)。特に作りやすいのは「ねぎ塩昆布あえ」です。鶏むね肉に「し・さ・か」を揉みこみレンチン。ボウルに入れて、塩昆布とゴマ油だけで味付け。とても簡単です。

今の季節には、ホイル焼きもおすすめです。じっくり低温で火を通すので、鶏むね肉がしっとりしやすいんです。

レシピ開発中に感じた、身体の変化

――150品のレシピを試作中、たくさん鶏むね肉を食べたと思います。その中で感じた変化があれば教えてください。

今年から、ジムに通い始めてパーソナルトレーニングも受けています。鶏むね肉を食べるようになってからは、腹筋も出てきたし、筋肉がつきやすくなったので、たんぱく質のすごさを感じています。レシピ開発中はかなりの鶏むね肉を食べましたが、身体の変化はすごく感じました。女性であれば、鶏むね肉1枚で1日分のたんぱく質が摂れるので、意識的に摂取してみてください。お肉だけを食べ続けると腸環境が荒れてしまう可能性があるので、野菜とうまく組み合わせることで、毎日おいしくポジティブに食べ続けられると思います。

ーーダイエットへの効果を自ら感じていらっしゃるんですね。

鶏むね肉は、噛み応えがあるんです。その分、しっかり咀嚼するので満腹感を感じやすい食材だということもわかりました。糖質も一人前10g以下で作ってあるので、数字面でも満足いただけるんじゃないかと思います。

ーー最後に、この本をどんな方に読んでいただきたいですか?

ダイエットをしたい方はもちろんですが、自分的な裏テーマとして、「一人暮らしのキッチンでも簡単に作れる」というのを意識しました。一口コンロの家庭でも作りやすいですし、レンジで作れるレシピも3分の1以上あります。野菜も調味料も基本的なものを使っているので、ぜひ一度挑戦してみてください。

(撮影/鈴木泰介、スタイリング/深川あさり、TEXT/上原かほり)

エダジュンさんの新刊著書

『鶏むねダイエット最強たんぱく質レシピ150』(主婦と生活社

エダジュン

パクチー料理研究家。管理栄養士。Soup Stock Tokyoにて本社勤務を経験したのち、料理研究家として独立。「パクチーボーイ」の愛称で書籍や雑誌で幅広く活躍中。著書に『クセになる! パクチーレシピブック』(PARCO出版)、『パクチーボーイのかんたんパクチーレシピ100!』(KADOKAWA)がある。

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