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コラム

人気料理人・笠原将弘さん直伝!「鶏むね肉」が劇的においしくなるプロのワザ

【今週のおすすめの一冊 vol.45】編集部が特に「おもしろい!」と注目した料理にまつわる本をピックアップし、気になる中身をダイジェストでお届け。今回は『和食屋がこっそり教えるずるいほどに旨い鶏むねおかず』(主婦の友社)についてご紹介します!

人気料理人・笠原将弘を夢中にさせる「鶏むね肉」

予約の取れない人気和食店「賛否両論」の店主で、テレビ番組出演やレシピ本出版と幅広く活躍する料理人の笠原将弘さん。いろいろな食材に精通する笠原さんですが、実家が焼き鳥屋だった経緯から、鶏肉への知識と腕前は料理人随一です。鶏肉の中でも、最近魅力に取り憑かれ、夢中になっていると語るのが、鶏むね肉

「鶏むね肉」調理の課題は、淡白さとパサつき

低カロリーで高たんぱく、そして低価格で人気の鶏むね肉。さまざまな形状に切りわけやすく、焼き物、揚げ物、炒め物と調理のバリエーションの多さも特徴です。ただ、鶏もも肉のようなジューシーさに欠け、イマイチ家族ウケしない欠点も。しかし、笠原さんは「淡白でパサつくイメージのある鶏むね肉はポイントさえ押さえて料理すれば極上の一皿に変身してくれる」と指摘します。

今回は、話題の新書「和食屋がこっそり教えるずるいほどに旨い鶏むねおかず」から、笠原さん直伝の鶏むね肉調理のコツとレシピを紹介します。

やわらかく仕上がる!鶏むね肉の基本の切り方

鶏むね肉をやわらかく調理するためのコツは切り方。繊維の向きごとに3つに切り分けてから使うのが基本です。

鶏むね肉の切り方

1. 皮をはぐ。鶏むねの端が細いほうから手で皮をめくり、身と皮がつながっている部分は包丁で切りながら皮を引っぱってはぎとる。もも肉と比べてはぎとりやすく、脂身も少ないので扱いやすい。

2. 繊維の向きを確認して3つに切り分ける。皮のついていた面を下にしておき、繊維の筋を確認する。矢印のように繊維の向きがあり、向きごとに3つに切り分けてから扱うとよい。

3. 繊維を断つとやわらかくなる。繊維の向きを気にせずに調理することもあるが、基本的にはやわらかい食感にするために繊維を断つようにして斜めに包丁を入れてそぎ切りにする。

家族が喜ぶ!鶏むね惣菜

「鶏むね肉は切りやすく、火の通りが良い利点がある」と笠原さん。手早く調理ができるからこそ、毎日の家庭料理に活用したいですね。今回は本書から、食べ応えのある照り焼きチキンのレシピを紹介します。

しっとり照り焼きチキン

鶏むね肉だと鶏もも肉よりさっぱり仕上がるので、仕上げにバターを加えてコクのある味わいにするのがポイント。

<材料>2人分
鶏むね肉……1枚(約300g)
塩……適量
小麦粉……適量
A
酒、みりん、しょうゆ……各大さじ2
砂糖…… 大さじ1

バター……10g
あらびき黒こしょう……少々
サラダ油……大さじ1
ブロッコリー……1/3個

<作り方>

1. ブロッコリーは小房に分け、塩ゆでする。

2. 鶏肉は皮目を下にして縦におき、厚みのあるところに切り込みを入れて開いて厚さを均一にする。身のほうに塩少々を振り、小麦粉を全体にまぶす。Aはまぜ合わせる。

3. フライパンにサラダ油を中火で熱し、鶏肉を皮目を下にして入れる。フライ返しでときどき押さえて、7〜8分焼き、皮をパリッとさせる。上下を返して、さわらずに中に火が通るまで3〜4分焼く。

4. 余分な脂をキッチンペーパーでふきとってAを加えてからめる。バターを加え、さらによくからめる。

5.切り分けて器に盛り、たれをかけて黒こしょうを振って1を添える。

1枚など大きいまま作ればごちそう感を演出できます。その場合は、鶏肉の厚さを均一にして加熱ムラを防ぎ、粉や衣をしっかりつけて火入れすれば、高い保湿効果でしっとりやわらかに。

目から鱗のプロのワザで苦手意識を克服!

本書には、笠原さんの数多くの鶏むね肉レシピから厳選された66品が掲載。唐揚げなど家庭の定番料理から、ヤンニョムチキンやコンフィなど世界各国の鶏むね肉料理まで網羅されています。

これまでも笠原さんのレシピを作ると、和食のプロならではのワザを体験でき、確実に自分の料理が格上げされる喜びを体感できた印象がありましたが、本書でもその驚きや喜びは健在

鶏むね肉の買い方、扱い方、調理と保存方法までを、笠原さんの丁寧な解説と写真付きの工程で学べ、鶏むね肉調理の苦手意識を克服できる構成になっています。

本書を活用して、低カロリー高たんぱく、そして低価格な鶏むね肉を攻略すれば、健康や節約を制することができそうです。食費高騰に悩まされる今こそ、間違いなく活用できる一冊。ぜひお手に取ってみてくださいね。

(TEXT:小菅祥江)

和食屋がこっそり教えるずるいほどに旨い鶏むねおかず

笠原将弘さん

東京・恵比寿にある日本料理店「賛否両論」店主。1972年東京生まれ。高校卒業後「正月屋吉兆」で9年間修業したのち、父の死をきっかけに武蔵小山にある実家の焼き鳥店「とり将」を継ぐ。2004年に自身の店「賛否両論」をオープンし、瞬く間に予約の取れない人気店として話題になる。直営店として2013年に名古屋店、2019年に金沢店もを開店。手がける料理レシピ本の人気も高く、著書累計は130万部を超える。プライベートでは、長女、次女、長男との4人家族。

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