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コラム

こんな使い方、見たことない!「ドライのオクラ」でとろ〜り満腹スープができた【世界の台所探検】

世界中の台所を訪れて現地の人と料理をする台所探検家・岡根谷実里さんが、各地の台所から、料理を楽しむヒントをお届けします。

暑い時期においしいオクラ。夏バテ気味の体によいだけでなく、血糖値上昇の抑制などのダイエット効果もあると言われています。

今回はみなさんが知らない楽しみ方を、オクラ使いが巧みなアフリカのスーダンの台所からお届けします。

オクラの原産地は北アフリカ

和食にもよく使われるオクラですが、実はその原産は日本やアジアではなく、遠く北アフリカのエジプトあたりと言われています。エジプトのすぐ隣に位置するスーダンも、オクラとの付き合いの歴史が長く、様々な料理法で巧みにオクラを使いこなしています。

切り方1つでこんなに変わる!オクラの三変化

スーダンの台所で一緒に料理をしながら、オクラの使い方を教えてもらいました。

1. 煮込み料理の具として

これは私たちにも比較的想像しやすい料理法。トマトベースなどの煮込み料理に、具材としてまるごと一本投入します。

このときのちょっとしたコツは、オクラの頭をスパッと横に切らず、尖った鉛筆型に切ること。 こうすると断面が塞がった状態のまま、中から種や粘りが流出することなくきれいに煮込めます。 とろみを中にとどめて具としてオクラを煮たいとき、ちょっと真似してみたい切り方ですね。

Fc6baa68b13fe55f282387ebf4ba79ae 鉛筆を削るように切る。一本だけ失敗したものが。

2. 煮込んで砕いてスープのとろみに

先ほどとは反対に、形がなくなるまで崩して、スープのとろみにしてしまうという調理法も。頭を切り落としたオクラは輪切りにして、1の時と同様トマトベースの煮込み料理に投入します。

そしてここからが注目。 木のかき混ぜ棒を両手でくるくる回し、オクラの繊維を砕きます! その様子はまるで手動のブレンダーのよう。たくさん叩かれたオクラは、やわらかくなり砕かれ、スープの一部になってとろみを与えます。

09ed321568e762e6f89e65aec411ef7f ものすごい勢いで混ぜる。腕の筋肉がすごい!

日本で真似するならば、包丁で細かく刻むかブレンダーで細かくして鍋に入れるのがいいですね。

9bef459822870ed5cb1e60f3a54a7ad9 スーダンの台所に欠かせない手動ブレンダー「マフラカ」。くるくる回してオクラを砕く。実は砕く以外にかき混ぜるやこねるなど、様々な調理を一本でこなす万能調理器具。

3. 乾燥させてとろみづけに

そして私が最もユニークで驚いたのは、この 「ドライパウダーにしてとろみ付け」 という使い方です。
ある日の昼食、牛肉とトマトのシチューをつくっていて、最後に薄緑の粉が取り出されました。おもむろに鍋に振り入れると、シチューにみるみるとろみが付いていきます。少量の粉が鍋いっぱいのシチューをまとめていく様子は、見ていてなかなか楽しいです。

11aba5f52274dbf02c7c226cbe35aca4 料理の最後にとろみ付けとして投入。量はもちろん目分量。

とろみがついたら、クレープ状の主食にかけていただきます。

スープやシチューに粘り気がつくことで、いいことが2つあります。
1つは手で食べやすくなること。スーダンは手で食べる文化の国です。とろみが付くことで主食のクレープにも絡みやすくなり、大勢で食卓を囲んでも不便なく手づかみで取り分けられるようになります。

2c64d461d7831885585ce0acbde56680 大勢で囲む手食の食卓。

2つ目は、お腹にたまること。とろみが付くことで一気に満腹感が上がり、ほんの少しの量でもお腹いっぱいになれます。実際、滞在先の家族に「味も香りもないのにどうしてオクラの粉を入れるの?」と聞いたところ、「その方がお腹いっぱいになれるから。サラサラしたスープではすぐにお腹が空いてしまう」という答えが返ってきたのでした。限られた食料をみんなで効率的に分けあうための知恵なのでした。

細かく刻んで砕いたり、ドライオクラにしてスープやシチューに入れるこれらの知恵は、食べ過ぎ防止になるという価値もありそうですね。いつもの汁物に砕いたオクラや粉末を少々入れて、試してみてはいかがでしょうか。

フードロスも解消!?自家製ドライオクラ粉末の作り方

スーダンの市場に行くと、ドライのオクラが山積みになっています。購入すると、その場で挽いて粉にしてくれます。

5f8bc3386b03053edfb06460f4d495a3 市場にて、山積みのオクラ。

しかしこのドライオクラ、家庭でつくることもあります。お邪魔した家庭では、料理で余ったヘタの部分を乾燥させ、粉末にして使っていました。通常捨ててしまう部分ですが、実はここだって食べられます。乾燥させて粉末にすれば、繊維の強さも気になりません。

87fbc20d9667cdbb46696b0d1658e71c オクラのヘタ。庭先に干してある。

さすがオクラとの付き合いの歴史が長いだけあって、最後の最後まで使い尽くす、すばらしい知恵を持っているなあと感動したのでした。

夏の食卓を彩ってくれるオクラは、普段和え物にしたりサラダにすることが多くなりがち。スーダンの台所の知恵をちょっとお借りして、料理のとろみ付けにも使ってみてはいかがでしょうか。ネバネバオクラで、暑い毎日を元気に楽しく乗り切りましょう!

岡根谷実里さん

台所探検家。世界各地の家庭の台所を訪れ、世界中の人と一緒に料理をしている。これまで訪れた国は60カ国以上。料理から見える社会や文化、歴史、風土を伝えている。
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