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コラム

お肉を焼く前に「常温に戻す」って意味あるの?スタッフが比較して確かめてみた

料理をしていて感じるふとした疑問に、クックパッドスタッフが実際にやってみるシリーズ。あくまでスタッフの主観のもと、いろんな気になることにチャレンジしていきます。

こんにちは。クックパッド・たべドリ事業部のかなです。

厚切り肉をつかったジューシーなソテーつくりたい!と思ってレシピをみると、大体書いてある呪文のような決まり文句、

「肉は冷蔵庫から出して、常温に戻しておきます」

ってあるけど、その手間は本当に必要なの?というモヤりを今回確かめてみました。

まずはお肉を準備

形と厚みがだいたい同じの鶏むね肉を2枚用意。冷蔵庫から取り出して、1枚を常温に戻す間、もう1枚は冷蔵庫で待機していただきます。

常温ってどれくらい?というのは、さわってみて冷たい!って感じがなくなったくらいで、約30分程度おいてみました。(4月上旬のまだ肌寒さが残った時期に実験。夏場は常温で放置すると衛生的に危ないので、様子を見ながら短めの時間にするのが良さそうです)

いざ、焼きます

同じフライパン、同じ熱源、分厚いところを開いて薄くしたりもせずに、それぞれ大さじ1のサラダ油をひいて焼きます! IHの600Wはだいたい中火らしい。

確実に中まで火を通したかったら蓋をしたいところですが、そうすると常温に戻す効果がよくわからなくなりそうなので、このままじっくり焼き続けてみます。

10分経過

途中ちょっと火を弱めつつ10分経過。慣れない卓上IHの火加減がムズい。

お?常温のほうが火が通ってる気がする...?横から見ると肉の半分近く色が変わってきています。冷蔵庫から出してすぐ焼いたほうはまだ1/3くらいの火の通り。 差が出てきていて、ちょっとホッ。

ひっくり返して焼き目チェック

10分経過した時点で肉のふちが白っぽくなっているので、ここでひっくり返して焼き目チェック。

左:常温 右:冷蔵庫からすぐ

普通においしそう〜。 どちらもこんがり焼けている!心なしか常温のほうが全体にこんがり感がある?気のせいかな(笑)。

18分経過

あ、あれ、焼きすぎたか?全体が白くなって差がなくなってきた?!もしや実験は失敗か...?

常温バージョン

冷蔵庫からすぐ焼いたバージョン

きゃーー!全部焼けちゃった...? と思ったら、一番厚いところがまだ生き残っていました(笑)ほっ。

厚みのあるほうからみた比較(左:常温 右:冷蔵庫)

やっぱり、右の冷蔵庫からのもののほうが焼け残りが大きいですねえ!

さらに側面を焼く

一番厚いところに火が通るように側面を焼く。フライパンのヘリをつかってさらに弱火で加熱。ここまでやったらどちらもふつうに火が通っちゃうかなあ、と思いつつ、常温の方も火が通ってないのでおそるおそる焼く。

加熱終了

どちらが常温か、見た目では区別がつかなくなってきた(汗)

常温バージョン

冷蔵庫からすぐ焼いたバージョン

後半は弱火でじっくり焼いて合計25分の加熱で火を止めた。見た目はどちらも全体に火が通った感じになって、さすがにこれだけ焼いたら中まで火が通っちゃったかなあ。

慎重に加熱しすぎたかもしれない…涙。

結果

おそるおそる、それぞれを切っててみる。

えい!

はい、きれいなチキンソテー完成〜。 きれいに焼けちゃった(涙)

いや、一番厚いところがまだ残っている!
ドキドキドキドキ....

えい!!

!!!!!!!

生焼けの証拠をゲット!
冷蔵庫からすぐ焼いたお肉は、25分加熱しても生焼け部分が残っちゃってました〜!!

【解説】お肉を常温に戻すということ

定説通り、お肉を常温に戻さないと中まで火が通りにくいですよ、ということが実証できました。でも、料理上級者の方なら冷たいままのお肉も様々な方法で中まで火を通すことができると思います。

じゃあ、なんで厚切り肉をつかったレシピには呪文のように常温に戻して、って書いてあるのでしょうか?面倒だし、時間がかかる、って感じますよね。

でも、たぶん逆なんです。

むしろ、常温に戻したほうが料理として効率がいいからなんだと思います。特に料理初心者の方にとっては、失敗しにくいひと手間なんですよね。

お肉の厚さにもよりますが、冷蔵庫から15〜30分ほど出しておけば常温に近い温度になっていきます。その後焼くことで、焼き時間は短くなり、冷たいまま焼くのとトータル調理時間はあまり変わらないと思います。

さらに冷たいまま焼くときは、中まで焼けたか気を使う必要がありますし焼き時間も長くなるので、ぱさつきやすくなったりもします。常温に戻してから弱火でじっくり焼いていけばそんなに失敗することはありません。

弱火だからすぐに焦げることはないし、フライパン任せの放置プレイでOKです。

常温に戻す間や焼いている間に、食卓の準備しつつもう1品作ったり、片付けをしたり、調理全体に余裕ができるというメリットもありますね。

まとめ

ということで、料理も"急がば回れ"なんですね。

面倒だな、と思っている手間も、全体の調理効率を考えたらとても理にかなっていることがよくあるんです。

お肉を常温に戻すのも、冷蔵庫から出して置いておくだけですから、なんてことない手間ですが、その時間を「待つ」って考えるととても億劫に感じます。

でもその間に、他の料理が進められたり、焼き時間も短くなってお肉のパサツキもおさえられたら一石二鳥、いや三鳥じゃないですか。 料理がうまくできた!っていうのは、単においしさだけじゃなくて、調理の段取りでも実感できるので、どこで時間がかかりそうかな、というのを考えて、「この間にそっちをやっとこう」と、時間のパズルを組み合わせるように料理してみてくださいね。

パズルがピタッとはまって、料理が完成したときの充実感は最高ですよ。
ということで、面倒だと思っていた常温に戻すモヤモヤを解消してみました。

(余談)乾杯メニュー

焼き加減を見るために、不揃いに切ってしまったし、実験のため長時間焼いて固くなってしまったので、生焼け部分を焼きつつケチャップソースでソテーにしてみました。

ケチャップの酸味がいい感じに、ちょっと固いお肉もカバーしてくれました!

こんな感じで、料理のモヤッとをいろいろ試していますので、よかったら他の記事も参考にしてみてくださいね。

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それでは〜。

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