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コラム

私の常識、間違いだらけだった⁉︎シェフに聞く「しっとりパラパラチャーハン」作るコツ

料理がもっとうまくなりたい!を叶える、プロの料理人による料理のパーソナルコーチングサービスMOMENT。 第3回はイタリアンレストランRistorante QUINDIの料理長・安藤曜磁さんが、チャーハンの作り方を生徒のさやこさんに伝授します。レッスンの様子を覗いてみましょう!

パラパラなのにしっとりおいしいチャーハンをつくりたい!

安藤コーチ

チャーハンは家庭料理としても手軽で人気のメニューですよね。よく作りますか?

さやこさん

そうですね。ひとりランチとかチャチャッと済ませたいときに作ります。
でもお店みたいにパラパラにならないんです。水分が多いのかべちゃっとなりやすくて、油でしっかり炒めるようにしたらいいのかなと思って試したら今度は油っぽくベタついてしまうとか。ちょうどよいバランスがつかめません。

安藤コーチ

なるほど。さやこさんの失敗の原因が見えてきました。
まず、チャーハンはお米が主役の料理ということを忘れずに。ごはん粒を卵でコーティングして一粒一粒を際立たせ、具で香りと食感を補うのが完成形です。今回は“ごはん粒にまんべんなく卵液をコーティングする方法”を一緒に学びましょう。

ごはん一粒一粒を“卵の油”でコーティング

安藤コーチ

チャーハン作りの最大のポイントはごはん粒を何でコーティングするか、です。
ごはんは水を含むと粘りが出るので、適度な油分をまとわせたい。その油の量が肝で、卵にも油分が含まれていますから、油をひいたところに卵液を加えると油が多すぎてベタベタとした仕上がりになってしまいます。
最初の油はごく少量にして卵の油でごはん粒をコーテングするのがポイント。チャーハンを作るときは「卵=油」と考えるとわかりやすいですね。

さやこさん

炒める前に卵液とごはんを混ぜる人もいますよね。それもコーティングの一種かなと思うんですけど、試してみたらパラパラにならなかったなぁ…。

安藤コーチ

卵かけごはんを思い浮かべてください。溶き卵とごはんを混ぜると少し粘りが出てとろっとしませんか? それは米のでんぷん質が出てきたから。そのあと加熱してもパラパラにはならないので、先に混ぜるのは禁物です。

さやこさん

なるほど。べちゃっとする原因のひとつですね! 油も卵がふんわりすると思って多めに入れていました。

安藤コーチ

失敗の原因が見えてきたところで、実際に作っていきましょう。
炒めはじめると時間勝負ですから、すべて準備しておきます。卵はしっかり溶いてコシを切って。箸で持ち上げたときサラサラッと落ちていくくらいまで頑張って混ぜましょう。次に具の下ごしらえ。ごはんと同じくらいの大きさに刻むのが2つ目のポイントです。卵コーテングしたごはん粒の間に入って、さらにパラパラッとした仕上がりになります。

さやこさん

今日の具はチャーシューと長ねぎですね。家だと冷蔵庫の余り野菜とかたくさん入れちゃいます。

安藤コーチ

それも失敗の原因のひとつで、野菜の水分でべちゃっとしてしまうんです。
チャーハンはごはんが主役ですから具は控えめに、途中で加えて炒め合わせていくので、すぐ火が入るものがおすすめです。

さやこさん

失敗の原因は「油多すぎ、具入れすぎ」だったんですね。

フライパンの大きさで、卵とごはんの量を見極め

安藤コーチ

最初の油はフライパンの表面温度を確かめるためのものなので、ごく少量。火加減は中火です。
油が温まってサラサラっとしてきたら、卵液を流し入れます。量はフライパンの面にちょうど行き渡るまで。

そうしたら、その上にごはんをのせていきます。ごはんの量も全面にまんべんなくのるまでを目安にしましょう。そして一気にかき混ぜていきます。

さやこさん

ごはんを広げてのせるんですね! たしかにそのほうがごはんの一粒一粒に卵液が行きやすいかも。ごはん粒がほんのり黄色になりました!

安藤コーチ

卵コーティングされてきた証拠です。見た目にもパラパラッとしてきましたよね。
そうしたら真ん中を空けて具を入れ、具だけを少し炒めて香りを引き出します。ねぎのシャキシャキ食感が残る程度でOK。炒めすぎは香りが飛ぶので気をつけて。香りが立ったら塩をふり、ここでようやく全体を混ぜ合わせます。

さやこさん

真ん中で具だけ炒めるとは! 具を先に炒めて取り出して、という工程をふむより楽だし時短。全体を混ぜる前に塩をふるのはなぜですか?

安藤コーチ

具とごはん粒にまんべんなく調味するため。混ぜてからだとムラが出るんです。全体が混ざったらまた真ん中を空けて、仕上げにしょうゆを少々。これは香りづけなので、フツフツして香ばしい匂いが漂ったら混ぜ合わせて火を止め、こしょうをふって完成です。

フライパンの面をいかした炒めワザ

さやこさん

口の中に入れるとパラパラほぐれて広がるのに、噛み締めるとしっとり! 味もしっかり入っています。チャーハンは中華鍋で作るもの?という先入観がありましたが、家のテフロンフライパンでもちゃんと作れるのはうれしい驚きでした!

安藤コーチ

一般家庭の火力でフライパンをあおると冷めてしまうので、作るときは最後のしょうゆを加えるまでフライパンをあおらないのもポイントです。
温まっているフライパンの面をいかして卵液やごはんは全体に広げ、具や仕上げのしょうゆは真ん中を空けて熱を直接当てます。平たい部分をいかした調理法ですね。今回は直径24cmのフライパンで卵2個弱、ごはん茶碗一杯くらいが適量でした。面の大きさに合わせて調整してください。

教えてくれたコーチ:安藤曜磁(Ristorante QUINDI料理長)

大阪の調理師学校で学び、京都のリストランテ「イルギオットーネ」に9年間勤務。その後、都内数店で料理長としてキャリアを積む。2018年より、「Ristorante QUINDI(クインディ)」の料理長を務める。そのほかレストランのレシピ提供や通販サイトでのパスタソースのプロデュースなど、素材を生かした料理には定評がある。一般社団法人Japan Food Frontierの理事も務め、こどもに向けての料理教室も行っている。

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