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世界の中でも特に「認知症」の発症率が高い国と言われる日本。将来のことを考えると不安になってしまう人もいるかもしれません。そんな中、ある食材に認知症の予防の効果が期待できることがわかりました。そこで今回は、認知症を予防するために意識するべきことについて、YouTubeチャンネルの登録者数が37万人を誇る、医師でヘルスコーチの石黒成治先生に教えてもらいました。
「認知症」の原因として一番多いのは、アルツハイマー病と言われる脳の変性疾患です。
日本では予備軍も含めると800万人くらいの人が認知症であり、2050年には1000万人くらいになるとも言われていて、OECDの加盟国の中で発症率が一番高いです。
これまで薬もあまりなく、一度完成してしまった症状を元に戻すような効果はありませんでした。
アルツハイマー病は、思考力、行動力、社会性などが全くなくなってしまう疾患ですが、60歳を過ぎると10年ごとに発症率が2倍になってくるため、高齢になればなるほどどんどん発症率が高くなっていきます。
若い頃から予防に努めておかないと、高齢になって症状が発生してから抑制することは難しいのです。
そんな中、「生姜」にアルツハイマー病の原因になる脳の神経細胞の変性や炎症を予防する効果があることが報告がされました。
生姜に含まれる生理活性成分であるジンゲロールに、アルツハイマー病に対する予防の効果があるとのこと。
もともと生姜はハーブで、何世紀にも渡って病気の治療として使われてきた歴史があり、古くはサンスクリット語の古文書や仏教、アラビア語、ギリシャ語、ローマ語の古い文献にも生姜という名前が出てきています。
インドの伝統医学であるアーユルヴェーダでは、生姜を牛乳と水と混ぜて飲むのが子どもの頃からの習慣ですし、子どもの頃の喘息や呼吸器の疾患全般に生姜を使うことが定番になっています。
今でも中国やインドでは、生姜を風邪薬として使ったり、脚気の予防や喘息の治療に使ったりしています。
イランの伝統医学のユナニ医学では、生姜は男性の性欲を高め、女性の生理痛を和らげる効果があるとも言われています。
中国の陰陽の思想で言うと、生姜は体を温める陽の役割があるとされていて、弱った脈の改善や貧血状態の改善の効果があるとして、積極的に使われてきました。
現在でも、痛み止めと同じ効果を発揮する成分が含まれているということで、鎮痛剤として使えるといった報告もされています。
生姜の中にはさまざまな活性成分が入っていますが、単語の認識能力や空間作業記録といった脳の機能が改善されることも研究でわかっています。
すなわち、脳の機能を後からでも良くすることができる効果が生姜にはあるということ。 アルツハイマー病を発症する前であれば、生姜を積極的に摂取することによって脳の機能を改善していくことが期待できるのです。
アルツハイマー病というのは、老人班と言われる特殊なたんぱく質が脳に沈着することで起こりますが、生姜は老人班を少なくして、脳の神経細胞が死んでいくことを予防する効果があります。
あとは、記憶や学習のために必要となるアセチルコリンという脳の神経伝達物質の濃度を高める効果もあります。
生姜はグルタチオンという抗酸化物質やスーパーオキシドディスムターゼという酵素などを増加させて、脳神経細胞が錆びるのを防ぐ効果があり、それに伴って脳の神経が萎縮していくのを防ぐというメカニズムが想定されています。
ほかにも、抗酸化作用や抗炎症作用があってガンや二型糖尿病を予防し、抗菌作用もありますし、体重を減らすにも役立ちますし、血糖値を落としコレステロールを下げる効果も報告されています。
生姜は食事の中に取り入れやすく、料理に使うのはもちろん、スムージーに入れたり、サラダのドレッシングにしたり、いろいろな形で毎日摂取することができます。
生姜を積極的に摂ることで認知症やアルツハイマー病の予防につながる可能性があるので、食生活の中に意識的に取り入れるようにしてみてください。
(TEXT:山田周平)
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画像提供:Adobe Stock
消化器外科医、ヘルスコーチ。
1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がん研究センター中央病院で大腸癌外科治療のトレーニングを受ける。その後、名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療を行うヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube、Instagram、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。Dr Ishiguro YouTubeチャンネル登録者数は37万人超(2024年1月時点)。