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コラム

「子どもの体力がなくて心配…」実は毎日の食事でエネルギー不足になっているかも?専門家が解説

細川モモ

ラブテリ トーキョー&ニューヨーク代表理事

【"成功する子"の食事術vol.24】子どもの成長に食事が大切ってことは分かっているけれど、どんなものを作ればいいの?毎日のことだから、悩んでいる親御さんも多いはず。シリーズ累計14万部突破「成功する子は食べ物が9割」の著者・細川モモさんに、20年後に後悔しない子どもの食事術を教えてもらいましょう。

子どもの体力づくりや運動能力の向上には、日々の食事が大きな役割を果たします。

小学1年生を対象とした研究(※1)では、主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物といった健康的な食品からのエネルギー摂取が多いほど、体力・運動能力が高いことが明らかになっています(これらの食品にはアイスクリームやお菓子、ジュースは含まれていません)。

まだまだ暑い日が続いているこの時期は食欲も落ちがちですが、子どもが体力不足に陥らないよう、エネルギーや栄養素を効率的に摂るためのポイントをご紹介します。

しっかり食べているのにエネルギー不足になることも⁉

実は子どもは、大人が思っているより多くのエネルギーを必要としています。

成長期の身体は、生命維持>成長>運動能力向上の順にエネルギーを優先して使いますが、エネルギー不足が続くと体力向上はおろか、成長やメンタルに影響を及ぼしてしまいます。

特に体重が軽いことが優位に働く競技や審美系のスポーツをしている女子は、食事制限などによるエネルギー不足になる可能性もあり、その結果、初経が来ない、月経不順や無月経になってしまうといった、女性としての一生に関わるマイナストラブルに繋がりやすいため注意が必要です。

胃のサイズから食事量が限られ、活動量も多い子どもたちにオススメなエネルギー源は炭水化物です。特に精製度の低い穀物、かぼちゃやとうもろこし、芋類、季節の果物などは、持続的にエネルギーを供給できます。例えば、朝食の主食にオートミールや全粒粉のパン、麦ごはんや雑穀米を取り入れることで、日中のエネルギーを確保できます。

朝ごはんに菓子パンを食べたがる子どもたちも少なくないと思いますが、上記の研究の通り、体力に影響する酸素を運ぶヘモグロビンや筋肉は食事の量と質にどうしても影響を受けてしまいます。スポーツドリンクも糖分が多いため、運動が長時間に及ぶ場合や大量の汗をかいた場合に限定して利用し、普段は水を中心に摂取するのが理想です。

また、平日休日ともに欠食をしないことも重要です。いくつかの小中学生を対象とした研究(※2)によると、朝食欠食がある子は毎日朝食を食べる子に比べて眠気・やる気が出ない・体がだるいなどの疲労感を感じている割合が多かったことが報告されています。

運動能力の向上には、たんぱく質・ビタミン・ミネラルも大事!

良質なたんぱく質も筋肉の成長と修復に欠かせません。毎食の主菜で肉、魚、大豆製品、卵などを取り入れることは必須です。たんぱく質が摂れる食材には不足しがちなビタミンやミネラルが豊富な食材も多いため、欠かさずに食卓へ登場させましょう!

また、運動能力の向上には、ビタミンやミネラルが関与しています。特に次の栄養素は日本人の大人も子どもも不足しているため、家族みんなで意識的に摂っていただきたいですね。

【ビタミンD】
魚(鮭やマグロ、青背の魚など)、卵、きのこなどの食材や、ビタミンDが強化された乳製品を摂ることで補うことができます。ビタミンDは日光に当たることで体内合成できますが、散歩や外遊びの不足、日焼け止めの過剰な使用により不足している人が増えています。

【カルシウム】
骨や筋肉の健康に重要なカルシウムは、運動能力の基盤を作ります。乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)や緑黄色野菜(小松菜やブロッコリー)、豆類などから摂取しましょう。給食のある日とない日で子どもの摂取量に差が出ているミネラルでもありますので、休日は特に意識しましょう。乳アレルギーのお子さんには丸ごと食べられる小魚や魚の缶詰、豆乳などがおすすめです。

【鉄】
鉄は酸素を運搬する赤血球や筋肉の材料になっているため特に重要です。赤身の肉や魚、豆類、ほうれん草などから摂取できます。成長期の子どもや体力を必要とするスポーツをしている子ども、月経が始まった女子には意識的な摂取が必要です。貧血になると酸素運搬能力が低下し動体視力や持久力が低下します(※3)。集中力が続かなかったり、ミスが続いてしまったりするのは気合が足りないわけではありません。パフォーマンスが低下しないよう満たしてあげましょう。

※食事のタイミング
食事のタイミングも運動能力に影響します。運動前には軽めの食事を摂ることでエネルギーを確保し、運動後にはリカバリーを助けるために、タンパク質+炭水化物を含む食事を。例えばバナナとヨーグルト、卵サンドといった組み合わせがおすすめです。


子どもの健全な成長と体力・運動能力向上には、エネルギー源となる炭水化物、筋肉の修復を助けるタンパク質、骨や筋肉の健康を支えるビタミンとミネラルが鍵となります。日々の食事に気を使い、バランスの取れた栄養素を意識的に摂取することで、子どもたちの運動能力を最大限に引き出してあげたいですね!

「うちの子は大丈夫?」と心配になったら、イベントで健康をチェック!

「うちの子は必要なエネルギーが摂れているのかしら」と心配になったときは、ぜひラブテリが主催しているイベントにご参加ください。体組成や骨密度の測定、貧血チェックが全て無料です。この機会に、ご自身・お子さま・大切なご家族の健康チェックにぜひいらしてください!

開催日時

・9月16日(月祝) ※事前予約制
浅草三業会館(浅草見番)にて「女性とこどものための保健室」を開催

・9月23日(月祝)
原宿駅前のWITH HARAJUKU HALLで開催される「キッズいきるチカラフェス2024」に「おやこ保健室」を出展

>>詳しくはこちらから!

※1
Hatta N, et al. Int J Environ Res Public Health. 2022 Feb 5;19(3):1819.
※2
田中良, ほか 日本幼少児健康教育学会誌 2.2 (2017): 77-85./池上佳那,ほか 北海道教育大学紀要. 教育科学編 69.2 (2019): 321-328.
※3
中高部活女子コンディションサポートガイド(順天堂大学)

メイン画像提供:Adobe Stock

細川モモさんの著書

「成功する子は食べ物が9割 栄養ぐるぐるレシピ」主婦の友社

<細川モモ 17万部突破の食育レシピ本シリーズ>
物価高だけど成長に必要な栄養はちゃんと与えたい‥!そんな悩みに限られた予算の中で1日に必要な栄養素の1/2〜1/3が摂れる学校給食メソッドを活用したレシピ本が発売中!一生の財産になる「最強コスパ×栄養食材ランキング」「ちょい足し食材で栄養アップ!」など、読んだ日から使える実践的なレシピ本です。

執筆者情報

細川モモ

ラブテリ トーキョー&ニューヨーク代表理事
2009年春に、医師や管理栄養士を中心に13種の医療専門家及び博士/研究者が所属する「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を発足。専門家の知識を分かりやすく提供することで、日本の家庭教育と子どもたちの健康をサポートしようと幅広い活動を展開。さらに、予防医療のなかでも、”母子健康”に注力。課題は深刻だが国のサポートが手薄なため、妊娠前/妊娠中/産後の女性の健康支援を通じて、次世代の健康の底上げに取り組んでいる。生まれてくる赤ちゃんの栄養状態・成長は妊娠前のママの栄養状態に影響されるが、働く女性の栄養状態は近年悪化している。日本の未来を守るためにも、母子栄養を潤す事は必要不可欠と考え、栄養状態の悪い女性を減らすことで不妊症や低出生体重児を予防し、1人でも多く健やかな赤ちゃんが生まれることを願い、走り続けている。

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