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コラム

浅漬け、下味付け、長期保存も◎塩を加えるだけの「おから床」が超便利!【工藤詩織の「お豆腐」進化論 Vol.7】

ヘルシー、節約……でも、それだけじゃない! 身近な食材「お豆腐」の魅力はまだまだあるんです。この連載では、豆腐マイスター・工藤詩織さんに、お豆腐をもっとおいしく楽しむための知られざるノウハウを伝授してもらいます。「そうだったんだ!」と思わず納得の意外な活用法を知れば、きっと試してみたくなるはず♪ あなたの食卓のお豆腐が“進化”すること間違いなしですよ!

「おから」が「漬け床に」!?

近年注目されているお豆腐の副産物、「おから」。皆さんはどのくらい食べていますか? 「おから」は食物繊維が豊富なので積極的に摂り入れたい食材なのですが、副菜として一度に食べられる量には限りがあり、生のままだと日持ちがしないのがネックですよね。

実は、そんな「おから」が塩を加えるだけで「漬け床」に変身するってご存知でしたか?

この「おから床」をオススメしてくれたのは、元新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さん。『魂の退社』(東洋経済新報社)や『もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓』(マガジンハウス)の著者でもある稲垣さんは、住む街の条件を「豆腐屋さんのある街」と話すほど豆腐屋さん愛に溢れた方なのです!

冷蔵庫が普及する前から、日本各地で見られた食材保存の知恵。今回は「おから」を漬け床とした「おから漬け」の魅力についてご紹介したいと思います。

楽しみ方いろいろ♪「おから床」の活用法

「おから床」で漬け込んだ「おから漬け」と呼ばれるものには地域ごとに特色があり、「卯の花漬け」や「からづけ」など、呼び名もさまざまだったようです。

活用パターンは主に3通り。まず、山間部での活用法はというと、大量に採れたタケノコやワラビなどの山菜を「おから床」に漬け込み、長期保存。塩だけで漬けると黒ずみやすい食材も、おからが混ざることできれいな色を保ち、アクまで抜けるというから驚きです。

長期保存が目的なので、おからと塩の割合は1:1〜2:1とかなり塩分強め。食べるときはしっかり塩抜きをして、炒め物や煮物に入れて食べたようですよ。

お次は、海に面する地域での活用法。千葉県の九十九里地方や愛知県渥美町などでは、イワシやサンマなどの魚介を、少量の酢と砂糖で味付けがされた「おから床」へ漬けて保存します。特有の臭みや余分な脂が抜けたサッパリした味わいの「おから漬け」は、ハレの日の郷土料理として永く愛されているようです。

生魚もおから床で長持ち


最後は、季節の野菜を漬ける活用法。かつては収穫期が限られていた、きゅうりなどの夏野菜を塩分の強い「おから床」に漬けて長期保存していたようですが、最近では塩分をほどよく抑えた「おから床」で「浅漬け」を楽しむレシピが増えているようです。

浅漬け用の場合、500gのおからに対して大さじ2程度の塩を混ぜるだけで完成します。少人数分であれば、袋の中で仕込みが完結するので手間もかかりません。ぬか床の香りが苦手な方にも、とっても食べやすい仕上がりになります。

実は私、昔からお漬け物が大の苦手で、その理由が「ぬか」独特の香りだったんです。それがこのおから漬けだとクセがなく、シンプルに野菜の旨味が味わえるので驚きでした。

おから床で作る基本の浅漬け

漬ける野菜は生で食べられるなら何でもOK。野菜から水分が出てくるので、おからがはじめからしっとりしている場合は、空炒りして冷ましてから使ってみてくださいね。塩加減は漬かった野菜の味見をしながら調整しましょう。

稲垣さんのオススメは、人参の千切り新玉ねぎの千切りちぎったレタスなど。トマトもまるごと漬けてみたら美味しく仕上がりました〜!

下味付けにも◎「おから床」のアレンジレシピ

先人の知恵をさらに楽しくアレンジした「アイデアおから床」も生まれています。おからと塩に加えて、「ヨーグルト」や「甘酒」、「味噌」をおから床に混ぜるレシピです。

私は「ヨーグルト」と「豆乳」を加えてみたところ、味わいがとってもマイルドになりました。さらに、お肉やお魚の下味を付ける際にも「おから床」が重宝します! 調味料を染み込ませた「おから床」に食材を漬けて放置するだけで、臭みが抜けて下味が付く。「おから床」って本当に優秀ですね!(笑)

白味噌を加えて

鶏むね肉の下味付けに

おから床に漬けて焼き魚も


「おから床」、いかがでしたでしょうか。年間約70万tも産出され、その多くが産業廃棄物として処理されている「おから」。稲垣さんの「みんながもっと普通におからを食べるようになったら日本は明るい国になる!」のお言葉に強く賛同します! 皆さんも、この春から「おから床」デビューしてみませんか?

工藤詩織(往来/豆腐マイスター)

幼少から豆中心の食生活を送り、豆腐がいつも暮らしの中心にある無類の豆腐好き。日本語教師を目指して勉強する過程で、食文化も一緒に伝えたいと「豆腐マイスター」を取得。国内にとどまらず海外でも、手作り豆腐ワークショップや食育イベントを実施して経験を積む。2018年より「往来(おうらい)」をテーマに本格的に活動を開始。豆腐関連のイベント企画・メディア出演などを通して、各地で豆腐文化の啓蒙活動を行っている。「マツコの知らない世界」(TBS系)、「ヒルナンデス」(日本テレビ系)、「ごごナマ」(NHK)等へ出演。
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