【体にやさしい「いたわりごはん」 Vol.6】今日はなんだかちょっぴりしんどい……そんな日は、体にやさしいごはんでパワーチャージ! 身近な食材で手軽にできるプチ薬膳メソッドで、体の調子を整えましょう。
ここ最近、目が疲れる、乾燥する、まぶたがピクピク痙攣するなどの症状はありませんか? 春は暖かくなり活動量が増えるため、新陳代謝が活発になります。そうすると、有害物質の解毒や分解を担う「肝」への負担が高まります。
漢方の考えでは「肝」と目は経絡という気の通り道でつながっているため、関係が深いとされています。そのため、「肝」に不調がある場合は、かすみ目や目の疲れなどが現れやすくなり、反対に目を酷使すると「肝」が弱ることになる、といったように双方は連動しています。
「肝」は自律神経を司る働きもあり、また目のピント機能に関わる“毛様体筋”は自律神経の支配を受けています。そのため、血が不足すると自律神経の働きが乱れ、ピント機能の調節がうまくいかずに目の疲れにつながります。
薬膳では、「肝」の働きを助けるために栄養を補うこと、すなわち補血作用のある食材を摂ることで「肝」を養い、目の疲れにも効果があると考えられています。
そこで、目の疲れを和らげてくれるのがにんじんです。にんじんには、目の乾燥を改善し、視力を高める働きが期待できます。また、血を補う働きがあるため、弱った「肝」を養ってくれる食材です。
にんじんにはβカロテンが豊富で、体内で必要な分だけビタミンAに変換されます。ビタミンAは目の健康維持に役立つ栄養素で、眼精疲労や目の乾燥、視力の低下予防にも効果を発揮します。
にんじんは薬膳では「平性」の性質を持っているため、体を冷やしも温めもしないとされ、比較的どの体質の人にも向いている食材です。消化吸収力を高めるので、常食するとお腹を丈夫にし、体力を増強させると言われています。
疲れ目対策に効くとされるにんじん。さらに牛肉、鶏肉、レーズンなどの血を補う食材を組み合わせることで「肝」を養うのを助けてくれます。血を補う食材の目安は赤い食材です。赤身の肉、魚、トマト、にんじん、クコの実などが代表的です。
にんじんといんげんを牛肉で巻いて、断面がきれいなのでお弁当にも。一品で満足感があり目の疲れ対策ができるメニューです。
にんじんのすりおろしが1本分入った、おやつにぴったりのにんじんケーキには、レーズンを加えて更に目の疲れ対策に。くるみの食感もアクセントとなりおいしいですよ。
春は「肝」に負担がかかりやすい季節のため、目の疲れが出やすい時期です。血を補う食材で、目の負担を軽減して快適に過ごしたいですね。今回紹介したレシピを参考にぜひ、お試しください。
漢方薬・生薬認定薬剤師。調理師。薬膳アドバイザー。大学卒業後、薬局にて従事している時に、病気の予防、健康維持には食育が大切であると感じ、服部栄養専門学校に入学し卒業する。お料理好きの漢方マニア。