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和食の味つけは「しょうゆ1:酒1:みりん1」と覚えればレシピなしですべて作れる【急に料理が得意になる方法 vol.2】

毎日の料理は、極力手を抜いてラクをしながらも、ちゃんとおいしく仕上げたいですよね。2020年5月28日に発売された、クックパッド編集担当本部長・小竹貴子さんの新刊『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』には、それを叶えるためのシンプルで簡単な料理のコツが満載。この連載では、本書の中から厳選して、すぐに使える“おいしくなるルール”をご紹介します。マスターすれば、急に料理が得意になること間違いなし!

しょうゆ1:酒1:みりん1なら必ず味が決まる

和食の味つけは1:1:1と覚えておきましょう。しょうゆ1:酒1:みりん1です。これでほぼできます。

分量は焼き物と煮物で違います。焼き物2人分が各大さじ1、煮物2人分は各大さじ2が目安です。煮物は汁が入る分、多くなります。煮物の水は肉は基本は300mℓ(カップ1と1/2杯)です。これに対して大さじ2と覚えましょう。ただ、魚の煮物の場合は汁気が少なく、2人分で100mℓ(カップ半分)です。

煮物は水分に合わせて調味料の量を変えるので面倒かもしれませんが、水は具材に対してヒタヒタに入れると覚えましょう。そして味見をしながら、同比率で入れると覚えておけば、結構簡単です。和食は1人前より2人前以上を作ったほうがおいしいし、作りやすいので、2人前の分量を丸暗記しましょう。

よく「和食がいちばん失敗する」と言われるのですが、和食が難しい理由は、(1)味が決めづらい、(2)火加減が難しいからだと思います。薄いかと思ったらすぐ濃くなったり、急に焦げたり、外側だけ味が染みて中には染みていなかったりなどしがちです。

味が難しいのは、調味料の数が多いからです。でも、1:1:1なら必ず味が決まるので失敗しません。

以前クックパッドで「黄金比」というのがはやりました。しょうゆ、酒、みりんの最高においしい比率はこれだと、1:1:2や、1:1:3など、いろんな比率が出ました。私もいろいろ試し、見つけたのが1:1:1です。

家庭料理は、おいしくありながら、毎日続けられるラクさとのバランスが大切です。1:1:1はおいしく、何より覚えやすいです。ほかの比率に比べてみりん(甘み)の比率も落ちるので、味もやさしく、健康にもいいです。

だしは基本的に必要ありません

だし汁も必要ありません。食材から旨みが出るからです。

砂糖ではなくみりんを使うのは、みりんのほうがまろやかな旨みが出るからです。みりんはもち米の甘さを米麹の力で引き出したものなので、砂糖よりもやさしい甘さが出ます。まさに外では出しにくい家庭の味で、自分が食べてもほっとしますし、子どもや男性も好きな人が多いです。

おいしく作るのに、ポイントがあります。やはり、調味料です。

まず、みりんは、「本みりん」を選びましょう。お店では「みりん風調味料」と「本みりん」が一緒に棚に並んでいるので、裏面を見て確認してください。本みりんはもち米を米麹とアルコールで熟成させて作られていますが、みりん風調味料は熟成させるのではなく麹や旨み調味料をブレンドさせていることが多く、実は成分も作り方もまったく違う、似て非なるものです。特に煮物は本みりんのほうがおいしいです。

そして、お酒は安価な「料理酒」は、長く保存するために添加物がたくさん入っているものが多いです。商品の裏面の表示を見て添加物の入っていないものを選んでください。私は料理酒ではなくお酒として飲める安い日本酒を買ってくるか、食塩ゼロの「料理のための清酒」(宝酒造)を使ったりしています。量が多いので、高価というわけではないです。

和食はシンプルな味つけなだけに、調味料の質がそのまま味に影響します。ぜひちょっといいものを選んでください。

和食は「しょうゆ1:酒1:みりん1」でほとんど作れます。右から「有機しょうゆ」(弓削多醤油)、「料理酒」(住乃井酒造)、「味の母」(味の一)です

焼き物の火加減は、火が通ってから調味料をからめること

そして、難しいと感じる理由のうちの火加減ですが、これも、ぜひ覚えてほしいことがあります。基本的に、焼き物は「食材に火が通ってから最後に調味料を入れる」と覚えておきましょう。食材に火が通った後にからめるようにすると焦げません。

煮物は肉と魚で違っていて、「肉の場合は最初に冷たいまま調味料と食材をすべて入れる」「魚は沸騰している煮汁に入れる」ことでおいしくできます。また、調味料は先に合わせておきましょう。この手間で、味つけが面倒ではなくなります。

普通煮物といえば、まず汁を煮立たせてから具材を入れるものだと教わりますが、肉を冷たいまま入れていいというのは、「日本橋ゆかり」の野永喜三夫シェフに教えてもらいました。「食材には、冷たいところから調味料が温まると同時に食材に入っていき、火を消して温度が下がることで味がしみ込んでいく」のだそうです。

できれば、一度冷ましてから再び温めたほうが味がしみます。また、ここも丸暗記ポイントですが、肉は1人前100gくらいと覚えましょう。これを基準にお好みで変動させてください。

豚肉のしょうが焼きに絶対失敗しない、「汁だく」

もっとも我が家で作る和食が、豚肉のしょうが焼きです。しかも、絶対に失敗しない方法を編み出しました。

これは、私がフードエディターをしていたときに「ラ・ベットラ・ダ・オチアイ」 の落合務シェフからヒントをいただきました。それまでは「しょうが焼きは、肉が焦げて意外と難しい」と思っていたのですが、落合シェフから「汁だくにすればいいんだよ」と教わったのです。それ以来ずっと汁だくのしょうが焼きです。

このしょうが焼きでは、しゃぶしゃぶ用のお肉を使います。火の通りが早くてすぐにできあがり、柔らかいです。特に水などは入れず、玉ねぎと肉からの水分で自然と汁だくになります。汁だくですが、「焼き物」として作りましょう。

まず、玉ねぎを薄切りにします。玉ねぎの量は、大体肉1人前の100gに対して、玉ねぎ4分の1個です。でも、作りやすいなら半分でも大丈夫です。野菜の中でも玉ねぎは、いちばん量が適当で構いません。和食は2人前以上のほうが作りやすいので、倍量から作ることをおすすめします。

つけあわせ用のキャベツも千切りにしておきます。しゃぶしゃぶ用の豚肉は、食べやすい大きさに切ります。もともと小さく分かれている場合はそのままで大丈夫です。

食材をすべて切れたら、火をつける前に調味料を合わせておきます。先に合わせておきましょう。私はカップに入れます。しょうゆ、酒、みりん各1:1:1です。

そして、ここがポイントですが、生のしょうがをすりおろしましょう。これを、最後にフライパンの上でぎゅっとしぼります。しょうが焼きはしょうがを楽しむ料理なのでチューブでもいいのですが、本物のしょうがを使うとおいしさが違います。

フライパンにサラダ油を熱し、玉ねぎをしんなりするまで炒めます。そのあと、豚肉を加えて炒め、8割火がとおったら、調味料を入れてからめます。汁気が少し残る程度で火をとめます。その上に、仕上げにしょうがをさっとしぼって混ぜ合わせます。つけあわせのキャベツと一緒に皿に盛って完成です。

すりおろしたしょうがは、 フライパンの上で手でぎゅっとしぼるとラクです

材料(2人分)

豚バラ薄切り肉 (しゃぶしゃぶ用がベスト)...... 200g
玉ねぎ(薄切り)...... 1/2個
しょうが汁...... 小さじ1
サラダ油(炒め用)...... 小さじ1
キャベツ(千切り)...... 1/8玉

■調味液
酒...... 大さじ1
しょうゆ...... 大さじ1
みりん...... 大さじ1

作り方

1 小さなボウルで調味液を混ぜる。
2 フライパンに油を熱し、玉ねぎをしんなりするまで炒める。
3 豚バラ薄切り肉を加えて炒め、8割火がとおったら、合わせ調味料を入れてからめる。汁気が残るくらいで火をとめる。
4 仕上げにしょうが汁をさっとかける。
5 キャベツを添えて器に盛る。

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(撮影:深澤慎平)

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クックパッドの立ち上げメンバーで、現在は編集本部長を務める著者は、これまでクックパッドの320万に及ぶ膨大なレシピを見て、たくさんのシェフに会い、そして日々の自分の料理をする中で「ここは手を抜いてもいい」「ここはこだわった方がおいしい」のラインを仕組み化してきました。この本では、その方法と全68品のオリジナルレシピを紹介しています。

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小竹貴子

クックパッド株式会社ブランディング・編集部担当本部長。1972年、石川県金沢市生まれ。関西学院大学社会学部卒業。株式会社博報堂アイ・スタジオを経て、2004年に有限会社コイン(後のクックパッド株式会社)入社。編集部門長を経て執行役に就任し、2009年に『日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2010』を受賞。2012年、同社退社。2016年4月から再びクックパッド株式会社に復帰、現職。現在、クックパッドニュースにて『おいしい思い出』、ForbesJAPANにて『それ、「食」で解決できます!』を連載中。また、フードエディターとして個人でも活動を行っている。

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